香港戦の観客はわずか4980人 日本代表で海外組に割って入れそうな選手が1人いた

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オールラウンドな能力

 しかし、サイドの、さらに後方から来るボールとなると、コースを変えなければならない。ボールの勢いを利用したフリックならまだ簡単な方だが、町野の1点目はゴールとの距離が離れていたため、しっかりミートした強いシュートでないとGKに防がれてしまう。

 そんな難しいシュートを決めた当の町野は「相手の背後にいて、ボールに対してアタックしようかなと思っていたら、かなりいいボールが来たので、本当にヘディングしやすかったです」と、さらりと言ってのけた。

 近年、といってもここ20~30年くらいになるが、日本代表でFWが豪快なヘディングシュートを決めた記憶がほとんどない。

 CKやFKの時にCB中澤佑二や田中マルクス闘莉王が強烈なヘディングシュートを決めたシーンの方が印象に残っている。

 18年ロシアW杯初戦のコロンビア戦で決めた大迫勇也の決勝点も、豪快なヘッドというよりタイミングをうまく合わせたヘディングシュートだった。

 町野は、後半12分にはゴール前のこぼれ球に反応して左足で自身2点目を決め、26分にはバイタルエリアに落ちてポストプレーでパスをさばくなど、オールラウンドな能力の片鱗を発揮した。

韓国戦が試金石

 6月の国際Aマッチでは、シュツットガルトの伊藤洋輝が左SBとして代表デビューを飾ると3試合に起用されて、ポスト長友佑都の1人としてアピールに成功した。

 彼と同じ1999年生まれの町野も、ポスト大迫の1人として今大会でアピールできるかどうか。

 それは順当なら決勝戦になるだろう27日の韓国戦が試金石になる。フィジカルコンタクトの強さを誇り、日本に対して特別な感情で挑んでくる韓国相手に結果を出せるのか。真価を問われる一戦になることは間違いない。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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