韓国で今も続く犬食文化 “韓国版土用の丑の日”にソウルの「犬肉専門店」で見た光景
店内は老人でいっぱい
だが、小径の一番奥に構えている2店舗だけは様相が違った。店内は満席で、2~3人が外で待っている状態。その店舗こそが犬肉専門店であった。
店頭にはあばら骨がむき出しになった犬肉の塊の山が展示され、看板には英語で〈Dog Soup〉、中国で〈狗肉〉、そして日本語で〈犬のスープ(犬肉)〉とある。
店主に話しかけてはみたが、「忙しいからちょっと待って」。粘って待っていると店内のテーブルへと案内された。
客層をじっくり観察すると、全員が50歳オーバーで白髪の老人が目立つ。2~3人で美味しそうにビールや焼酎と一緒に犬料理をつついている。
やがて店員が犬肉の蒸し料理を運んできた。いつの間にか食べる流れになってしまったが、ここまで来たからには逃げるわけにはいかない。
美味くもないが不味くもない
付け合わせのネギと一緒にコチュジャンにつけて食べる。硬い。脂身のない鴨肉のような食感だ。美味くはないが不味くもない。続けて出てきたのは鍋料理。グツグツと煮込んだスープの中には、犬肉のほかにシソやネギが入っている。
匂い消しのためなのだろう、スープが辛すぎる。味は蒸し料理と一緒。体にいいと言われたら食べられなくもないといったところである。だが、次々と口に運んでいるうちに、味覚とは別の“犬を食べているんだ”という罪悪感のようなものが襲いかかってきた。すると、急に気持ち悪くなってきたのである。
オ氏はまったく口をつけずに、ニヤニヤ見守っている。ひとりで平らげるのには限界があり、少し残してギブアップした。値段は一品1万6000ウォン(約1700円)だったが、オ氏の顔でご馳走になってしまった。
[2/3ページ]