3連休ソウルルポ 日本人観光客の“定番スポット”「明洞」は空き店舗だらけ 日本語案内も消滅
半数が日本人客だった
ゆえに人通りも寂しくなってしまったのだ。訪れたのは日本の3連休の始まりである7月16日だが、メイン通りに人影はちらほらといった程度。かつて50メートル歩くのも一苦労した人混みが懐かしい。
道を進むほどに空き店舗が目立つ。ここには化粧品店があったはずなのに、プデチゲ屋が、ソルロンタンのチェーン店が……。ショーウィンドウの中は空っぽで、「テナント募集」の張り紙が寒々と貼られている。裏路地に行くほどひどく、すべてが空き店舗でゴーストタウンのような路地もあった。
「化粧品や飲食などで、日本人をメインターゲットに絞っていた店はことごとく潰れちゃったね」
こう語るのは、眼鏡店の店主だ。韓国は眼鏡が安い、と日本人に大人気だった。最近は日本でも格安店が増え始め、値段の差はなくなってきたのだが、1~2時間街歩きしている間に度の合ったレンズを入れて、その日のうちに手渡してくれるサービスが売りだった。
店主はこう嘆く。
「コロナ前は50パーセントが日本人。中国人客も10パーセントくらいいたんだが、全部途絶えてしまい苦しい経営が続いてきた。日本からの観光が再開したっていうけど、まだそんなに実感できていません。1日2~3人かな。以前は100人くらい来ていたんだからね。今日はあなたが最初の日本人です」
「明洞には5店舗あったんですが2店舗に統合しました。従業員たちも食えなくなって他の街に行ってしまいました」
このような会話ひとつとっても、通訳を介さねばならないのも変わったところだ。以前は日本語ができるスタッフが必ず常駐していた。いつものように1時間コースを頼み、財布を出した時に、あれっと気づいた。
1時間3万8000ウォン(約4000円)と、3年前より1万ウォンほど値上がりしている。仁川(インチョン)からタクシーに乗ってきた時にも値上がりは感じていた。以前だったら4~5万ウォンだったのに、支払ったのは6万ウォン(約6300円)。世界的な物価高に加え、ウォン安の影響があるのだろう。韓国旅行が再開したとしても、もうソウルは安く遊べる街ではなくなってしまった。
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