「札幌地裁ヤジ判決」が安倍元首相の射殺を招いたのか 朝日新聞も読売新聞も言及

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朝日は明確に反論

 ネットの論調や読売新聞の社説を意識したのか、朝日新聞は12日に掲載された社説「安倍氏の警備 『失態』検証し説明せよ」で反論した。

《首相在任中の安倍氏の街頭演説に抗議の声をあげた市民を、その場から排除した北海道警の措置を違法とする判決が、この春言い渡された。それが影響したと見る向きが一部にあるが、状況は全く異なる。政治に対する言論による異議申し立てと、無法な暴力とを混同するようなことはあってはならない》

 読売新聞は翌13日、再び社説「安倍元首相銃撃 国際的な視点が欠けている」で判決について言及した。

《前回の参院選では、演説中の安倍氏にヤジを飛ばした男女が北海道警に排除された。これに対し、札幌地裁は警備が違法だったとして道に損害賠償を命じた》

《判決は、ヤジを飛ばした人の「表現の自由」を認めたが、演説を静かに聞きたい聴衆の権利はどうなるのか。判決が今回の安倍氏の警備に与えた影響は明確ではないが、規制の必要性を的確に判断することが重要だ》

 ネット上などで論戦が盛り上がりを見せる中、元警察官僚から「札幌地裁の判決と、安倍元首相の射殺事件は関係がない」という意見が出た。

「萎縮はない」

 弁護士ドットコムニュースは7月13日、「安倍元首相の警備に『ヤジ排除』地裁判決は影響したか? 元警察官僚の弁護士の見方」の記事を配信した。

 この記事で、元警察官僚で警視庁刑事の経験もある澤井康生弁護士は以下のような見解を示した。

《札幌地裁判決は極めて当たり前の判決を下したと評価できます。ただ単に反対意見を叫んでいるにすぎない人物を演説の邪魔だからといって有形力を行使して排除してしまうと表現の自由を侵害してしまいます》

《ヤジ排除事件判決の影響で現場の警察官が特に委縮していたということはないと思います》

 判決内容を伝える朝日新聞の記事でも《踏み込んだ判断》という分析があったことは前に紹介した。朝日新聞の同じ記事でコメントを求められた京都産業大学の田村正博教授(警察行政法)は、次のように指摘した。

《判決も(安倍氏の乗った演説車両に向かって)原告の男性が突然走り出したのを制止したことについては、道警の対応が適法だったと認めた》

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