「六本木クラス」で辛口コラムニストが感じた日韓格差 それでも1つだけ希望はある
劣化縮小コピー
アナ:では、どうしましょうか、夏ドラマの話。
林:こんにちは、梨泰院です。
アナ:ああ、びっくりした。何の危ない話を始めるかと思ったら、「梨泰院クラス」(2020年)の梨泰院ですか。テレビ朝日系でリメイク版の「六本木クラス」(木曜21時)がスタートしていますね。
林:リメイクか。その言葉、ニッポンのドラマの世界じゃ、もうすっかり「劣化縮小コピー」の意味になっちゃったなぁ。この10年、海外ドラマのリメイクはずいぶんあったけれど、やる意味・やる意義のあった作品ってひとつもないでしょ。
アナ:確かに。林さん、連ドラ評をお願いするたびに、リメイクに厳しい批判を浴びせてこられましたし、実際、視聴率の面でも評価の面でも、成功した作品というのは思い当たりません。
林:リメイクって、オリジナルのほうに“もっと広く受け入れられるには改良したほうがいい”という点がある場合に初めて成り立つはずなんだけれど、アメリカや韓国のドラマをニッポンでリメイクしたドラマの場合、改良どころか改悪になってて、もっと広く受け入れられるどころか、オリジナルのほうの成功を傷つけるような結果に終わってます。「六本木クラス」にしても、初回を見終わっての感想は、やっぱり「ダメだこりゃ」。
アナ:たとえば、どのような面がオリジナルに及ばないのでしょう。
林:キャスティングから演技、演出、撮影、照明、大道具に小道具に至るまでのすべて、かな。1話だけ見ればわかるどころか、5分、いや3分も見れば、カネの掛けられ方とか作り手の意気込みとかはつかめるわけだけれど、そういうルック&フィール、手触り・肌触りからして、まったくオリジナルに及んでません。
アナ:全体に軽いという印象は私も受けました。
林:オリジナルより安っぽいというのはこれまでのリメイクもののドラマ全般と同じで、「六本木クラス」だけが酷いわけじゃありません。たとえば、主演の竹内涼真の芝居はオリジナルのパク・ソジュンより上手いとか、合計の放送時間が短い分、展開を濃縮した脚本・演出はいいとか、言ってみたい気もするけど、たとえいくらおカネを積まれたとしても嘘はつけないしなぁ。
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