倒れた「アイドル」20人以上… 出演者が語るお台場「アイドル博」のお粗末すぎる実態

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「いわくつき」のイベントだった

 もともと「TOKYOアイドル博」は、開催直前に参加を辞退するアイドルグループが続出したことで、ネット上で話題となっていた。ほかにも「ホームページのタイムテーブルがエクセル」「会場の住所が青海でなく青梅になっている」など、杜撰な部分が一種のネタとなっていた。さらにイベント当日も仮設トイレに扉がなく、ステージで踊るアイドルの目線の先に用を足す男性の姿が見えてしまうという、とんでもない状況だった。

 アイドルたちにも、さまざまなルールが課せられていた。参加したアイドルCさんによれば、まず参加するためには1万円の参加費用を支払う必要があった。また、こうしたイベントはアイドルにとって新規のファンを獲得するチャンスだが、会場でビラを配るのにも1日あたり3万円を主催者側に支払う必要があったそうだ。ルールを守らなかった場合は「清掃手数料として5万円」(Cさん)の罰則があったという。

 結局、熱中症が多発したこともあり、17日に予定されていたステージイベントは2時間繰り上げて17時30分にすべて中止となった。この影響を一番受けたのが、17時30分以降にステージが予定されていたアイドルたちだ。そのために会場に来たアイドルの中には泣き出すものもいた。

 こうした事態を受けて、翌18日のステージには車の用意できないグループ、バス楽屋の使用申込を行っていないアイドルグループは参加できないという通知が出された。車を用意できない、主催者の対策に不安を覚えたアイドルグループの出演辞退が相次いだ。

 いろいろと問題を抱えていたアイドル博だが、熱中症を防ぐことはできなかったのだろうか。前述の田中教授は、次のように話す。

「体を冷やす対策が必要でしたね。たとえば冷たいタオルで体を拭く、氷を用意して脇に当てるなど。当日は湿度が高かったようですから、パフォーマンスで汗をかいても体熱が逃げていきにくく、高体温になりやすかったと思われます。熱がこもりやすいテントでしたら、そういった冷却の工夫が特に必要でした」

 一方で、出演したアイドルの夕月さんは主催者側だけでなく、アイドル側のスタッフの責任もあったのではないかと言及する。

「今回のイベントに参加したのは地下アイドルが多く、野外ライブの経験がないグループがほとんどだったと思います。アイドル自身もスタッフ側も、衣装を着て炎天下で歌って踊るハードさがわからず、準備不足もあったのではないかと思います。どんな環境であろうとアイドルグループの運営スタッフはアイドルを守る立場であるべきで、イベントを責める前に女の子を預かる者として、もっと工夫や対策できたことがあったのではないかと思います」

 野外でのフェスは夏休みが本番。対策をしっかりして、“アツい”のはステージの内容だけにしてほしいものだ。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。ニュースレター「偶像史とドラゴン」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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