後ろ盾を失った高市早苗氏は終わった? 「同様の支持を得るのは難しい」

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フリーハンドが増える

 ではこれは岸田総理にどのような影響を与えるのか。

「メリットとデメリットの両面が生まれると思います」

 と述べるのは、政治解説者の篠原文也氏だ。

「デメリットとしては、これまで安倍さんが得ていたコアな保守層の一部が、今後、維新の会に流れる可能性があること。また、清和研や保守派の議員たちは安倍さんの下にありましたから、総理は安倍さんと話をつければそこはまとめることができた。今後はその動きが流動化します」

 他方、メリットとは?

「岸田さんにとって安倍さんが重圧的存在だったのも事実。党内に圧倒的な影響力を持つゆえに、常にお伺いを立てなければいけない存在でしたし、防衛費の増額論議や、防衛省次官人事に象徴されるように、実際に注文を付けられることも少なくなかった。しかし、これからはその重しが取れて、政権運営にフリーハンドの部分が増えるでしょう」

 折しも、参院選で自民党は大勝し、総理の求心力はアップ。より安定した基盤が構築されたというのだ。

 その中で、最も割を食う人として衆目一致するのは、高市早苗・政調会長である。

「彼女は派閥に所属していません。それでも先の総裁選に出て、あれだけの票を集めたのは、ひとえに後ろ盾になった安倍さんがいたがゆえです。その人が亡き今、自前で同様の支持を得るのは非常に厳しい」

 今後の清和会の後継について、同派の最高顧問を務める衛藤征士郎・元衆院副議長に聞くと、

「8月に予定されている内閣改造、党役員人事の前までに、会長もしくは会長代行を決めなければならないと思っています。派閥の求心力を高められる人、リーダー足る人を選ぶ。それに尽きますね」

 歪んだ憎悪から生まれた一発の凶弾は、日本の政治と社会を大きく揺るがし、余波は収まりそうにない。

週刊新潮 2022年7月21日号掲載

特集「元総理射殺犯『呪われた一家』の全履歴 自殺の連鎖が生んだ『安倍=統一教会』歪んだ憎悪」より

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