大阪・高槻「1億5000万円」保険金怪死事件 黒いランボルギーニに乗る「28歳養子」逮捕で真相解明なるか
赤坂のタワマン暮らしで、ランボルギーニを所有
大阪府警は20日、有印私文書偽造・同行使の疑いで高井凛(28/旧姓・松田)を逮捕した。当時の妻や実父の同意を得ないまま、「養子縁組」の証人欄にそれぞれの署名を偽造し、高槻市役所へ提出した疑いがもたれている。この男を巡っては、かねてより不可解な「保険金殺人事件」への関与が囁かれ、「週刊新潮」と「デイリー新潮」ではこの事件についての取材を進めていた。(「週刊新潮」2022年3月31日号に掲載した記事を加筆・再構成しています)
取材の過程で浮かび上がってきたのは、彼の華やかな経歴だ。関西の有名大学でアメフト選手として鳴らし、卒業後は大手コンサルティング会社、外資系保険会社を渡り歩いた。自身のSNSには、自慢の黒いランボルギーニの前でポーズを取る写真が誇らしげに掲げられていた。
高井容疑者の知人が語る。
「最近まで住んでいたのは、家賃30万円は下らない赤坂の高級タワーマンション。その前は白金高輪のマンションで暮らしていたものの、“眺望が気に入らないから引っ越した”と聞いています。普段の服装は、ダウンからパンツまでバレンシアガで揃えて、腕にはクロムハーツのブレスレットという感じです。保険会社を辞めた後は、ベンチャー系の金融企業に入ったみたいですけど、いまは個人で“FXをやって儲けてる”と豪語していました。麻布十番のガールズバーで口説いた若いカノジョと同棲中だそうで、高級寿司店でデートしてはSNSに画像をアップすることも。体のあちこちにタトゥーがあって、右胸には英語のメッセージが彫られていましたね」
モデル風のスレンダー美人である“カノジョ”のSNSには、彼からプレゼントされたと思しき、カルティエの腕時計やブシュロンのリングといった高級ブランド品が並ぶ。まさにイケイケの「港区男子」といった風情だが、その裏で、この男は大阪で起きた事件への関与が疑われていた。
巨額「保険金」の受取人として浮上
昨年7月26日、大阪府高槻市八幡町にある一軒家の浴槽で、都市銀行のグループ会社に勤務していた高井直子さん(54)の遺体が発見される。問題はここからだ。大阪府警は今年2月22日、彼女の死因を「他殺による溺死」と断定したのだ。
被害女性は、水の張られた浴槽に顔が浸かった状態で発見されている。酷暑のせいで遺体の腐敗が進み、当初の司法解剖では死因不詳とされた。社会部記者が語る。
「ただ、その後の調べで左手首に“皮下出血”の痕跡が見つかった。府警は、7月23日前後に何者かが高井さんの両手を縛り、溺死を装って殺害したと考えて捜査を進めていました」
遺体発見時、室内に荒らされた様子はなく、居間には70万円入りの封筒や通帳、印鑑の入ったポーチ、財布や携帯が残されていたことから、物盗りによる犯行の線は早い段階で消えたという。高井さんの両親は離婚しており、同居していた母親が施設に入ってからは、事件現場となった一軒家に彼女がひとりで暮らしていた。その一方で注目されたのは、
「被害者に1億5000万円という巨額の生命保険が掛けられていたこと。そして、保険金の受取人が、昨年2月頃に彼女の養子になった今回の容疑者だったことでした」(同)
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