藤井聡太が棋聖3連覇で五冠維持 “楽しそうな感想戦”で永瀬王座に見せた特別な笑顔

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 7月17日、愛知県名古屋市の「亀岳林 万松寺」で、藤井聡太五冠(20=竜王・王将・王位・棋聖・叡王)に永瀬拓矢王座(29)が挑戦した棋聖戦五番勝負の第4局が指され、藤井が104手で勝利。シリーズ3勝1敗で3連覇し、五冠を守った。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

「厳しい戦いだった」

 藤井聡太が「10代最後の一局」を見事に勝利した。

 藤井は「結果を出せたのはよかったけど、厳しい戦いだったと思うので、ちゃんと振り返らないといけないなと思います」と冷静だった。

 序盤から2歩損となった藤井は、それをハンディにしない展開。中盤、8筋、9筋での攻防が続いたが、藤井が飛車を成り込み、次第に藤井有利に傾く。永瀬も敵陣に入った竜と角で攻撃するが、藤井の玉は捕まらない。

 永瀬が投了したのは藤井の104手目、「2六桂馬」の王手。そこからは五手詰めで、アマ有段者などでなくともわかる。「棋士の美学」などからも、こうなる前の藤井の2六への香車打ちあたりで投了する棋士も多いが、永瀬は早めの投了を好まないという。

 局後、大盤解説会場に現れた永瀬は、「最終局まで指せればもう一局見せられたけど、力及ばなかった。また藤井さんとタイトル戦ができるように頑張りたいと思います」と語った。

通算タイトルは9期

 藤井にとって棋聖位は、2年前に大阪で史上最年少の17歳で渡辺明二冠(38=棋王・名人)から奪った忘れられない初タイトル。その若武者も7月19日に20歳になった。

 会見前の写真撮影では、師匠の杉本昌隆八段(53)が登壇し、早めの誕生日ケーキをプレゼントした。藤井は会見で「もうお年玉はもらえないと思うので、ケーキは嬉しい」などとはにかんだ。

 さて、この勝利で通算タイトルは9期となり、トップの羽生善治九段(51)の99期から数えて9人目に食い込んだ。ヒフミンこと加藤一二三九段(82=引退)、戦前の木村義雄十四世名人(故人)を抜いた。

 10代に限定すれば、屋敷伸之九段(50)の2期(棋聖)、羽生の1期(竜王)しかなく、これは永遠に抜かれないと思える「ダントツ」の記録だ。

 AbemaTVで解説していた郷田真隆九段(51)も、相方の女流棋士に藤井の誕生日の話をされて、「そういえば、まだ10代でしたよね」と感慨深そうだった。

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