“イチローを超えかけた男”根鈴雄次が明かす、“ラオウ”杉本裕太郎を本塁打王に導いた「逆転の発想」
体で打つ
だから、杉本の豪快なホームランのシーンでは、バットが上に跳ね上がるアッパースイングの感は強いが「そう見えちゃうだけ」。杉本の身長は192センチ。その長身ゆえに、バットを縦に振る、つまり、最初の動きでバットのヘッドを下に落としていくという「その落とせる幅が、人よりもでかいんです」。だから、振り上げているように見えるだけだ。
肝心なのは、振り上げるのではなく、振り下ろすという“初動”なのだ。
「ダメなときは、バットを持ち上げて、速さを出そうとしている。そうじゃないんです。打つまでの、このドンと落とすまでが重要なんです」
杉本は今季序盤、打率1割を切るほどの大不振に陥った。根鈴にも、LINEを使って動画を送り、何度となくアドバイスを求めてきたという。
根鈴は、杉本にバットを抱っこするように、両腕で抱えさせた上で、右肩を上から下、左肩をしたから上へ動かし、その時にバットのヘッドでボールを捉える動きを取らせた【写真3】。
「体で打つんです。打球を上げなきゃ、という感覚は間違っている。勝手に、ボールは上がるんです。本人のやりたいスイングは去年(2021年)のイメージ。どう崩れていたのかというのは、バットが縦に落とせないから。バットを振り回しちゃっているという悩みでした。(矯正を)やってみて『あー、これでした』って」
[3/4ページ]