“イチローを超えかけた男”根鈴雄次が明かす、“ラオウ”杉本裕太郎を本塁打王に導いた「逆転の発想」
「サク超え」とか、どうでもいい
「内角低め、インローなんて、バットとボールが横に当たるわけがない。山本由伸(オリックス)の球、例えばカットボールで左のインコースに来ました。その時、バッターがこういう風に、横に出そうとするバッターなら、100%打てないですよ、だって、曲がって内側に入ってくるんですよ? 大谷のような形、ここで、ここを打つしかないんです」【写真2】
「逆に外角低めなら90度は難しいですけど、45度くらいの角度で入る。これでボールに角度がつきます。速い球のピッチャーに、ここでボールを打とうと思って、バットを横に入れていったら、ファウルにしかならないんです」
だから、バットの「面」を、ボールの軌道のところへ「縦」に出していく。
「その練習さえしておけば、当たれば飛ぶわけです。あいつ、球が速い。速いボールがバチッと、一発来る。外角びたびた、これはもういいや、とりあえず、どこか当たれ、という感じで、バットをそこへ縦に出す。どこか当てとけ。おー、ホームラン。そういう感じになるわけですよ」
その意識と理論をマスターすれば、日本の打撃練習の“愚”に気づくと根鈴は強調する。
「日本は、強く振るってことばかりを練習するんです。でも、アメリカではそうではないんです。彼らはフィジカルであれだけゴリゴリですが、いいバッターほど、ボールを飛ばそうと思って、バッティング練習をしていないんです。サク超えとか、どうでもいいんです」
大谷も、基本的には外での打撃練習を試合前には行わない。バットの出し方、コンタクトの仕方。これを確認することが打撃練習の根幹だから「スペースはいらないんです」と根鈴。ティースタンドの上にボールを置き、バットを「縦」に出していく。それで、打球に角度がついていることを確かめられれば、それでいいのだ。外に出て打つのは「その確認だけですね」という。
「これは、僕が考えたとかそういうことじゃなくて、もうアメリカの人たちは知っていること。もう、これが現実です。こうやって飛ばすんです」
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