オリックス“ラオウ”杉本裕太郎を覚醒!“イチローを超えかけた男”根鈴雄次が語る「打撃理論の神髄」
分厚く当てる
ただ、この「回旋」を伴うスイングを、米国では「リストターン」と呼び、よくないバッティングの典型とされている。
「確かに、きっちりとボールを捉えられていれば、リストターンすればボールはよく飛ぶんです。でも、それは『点』で捉える動きなんで、確率が低いんです。今、その腕の使い方をするのは、日本人だけです。グーッと押し込んで、このままフォローを取る。あれでいいんです。今は、それが主流です。腕は(最後に)勝手に返るんです」
根鈴は、ボールとバットが当たる瞬間を、実際にサッカーボールとバットの位置で示してくれた。
「分厚く当てるんです。漫画みたいに、ボールがぶわ―っと当たって、びやーんとへっこむようなシーン、あるじゃないですか? この分厚く当たって、角度を出す当て方。それはボールの丸と、バットの丸じゃない」【写真3】
レベルスイング、つまりバットをボールに対して「横」に出していく“日本流”だと、バットがボールの上に入ってしまうと「薄く当たって、ちん、と当たって、くそゴロが出ちゃう」。逆に、バットがボールに下に入ると「もぐってしまって、ぴょこんとフライが上がってしまう」【写真4】
当たり方を解説してもらうと、よく分かる。
「だから、いかにしてボールに対して、バットが縦に入るのか。このコース、日本の打ち方をしていたら、ここにバットが出ないんですよ」
そう言いながら、根鈴がボールを置く「ティー」を、インコース低め、つまり自分の左ふくらはぎ付近に設置した【写真5】。
例に挙げたのは、二刀流・大谷翔平(アナハイム・エンゼルス)だった。
(後編に続く)