オリックス“ラオウ”杉本裕太郎を覚醒!“イチローを超えかけた男”根鈴雄次が語る「打撃理論の神髄」

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縦にバットを使う

 バットの形状は、グリップの部分から先端へ向かって、少しずつ太くなっている。

「要は、これがゴルフクラブのロフト角になるんです」

 グリップの部分を握り、バットを地面に垂直に下ろしてみれば、一目で分かるだろう。先端部分へ向かって、わずかながら角度がついている。

「だから、バットを振り上げる、振り上げないというのは、どうでもいい。バットが上からドーンと、この角度で落ちるかどうか。分かります? バット自体、スッと落ちていくんだけど、ゴルフのアイアンのフェースみたいなもんで、ゴルフでもそのフェースが上からすーっと下がって、ボールの先の芝をボボッと掘っても、ボールがポーンと上がるじゃないですか? 縦に振るというより、だから、縦にバットを使うということなんです。ボールとバットを、横面で当てないということなんです」【写真2】

 この説明に、根鈴理論は集約されている。日本のバットスイングのスタンダードは「レベルスイング」だ。ボールの軌道に、バットの「芯」の部分を入れていき、ミートポイントでコンタクトする。

 バットを構えたとき、その「芯」はいわば、自分の頭上付近になる。だから、野球解説で「上から叩く」という表現が頻出するわけだ。

 そのコンタクトの瞬間、バットは地面と平行に近い状態になっている。この時に、バットのヘッドが下がると「アッパースイング」と言われる。打球を上げようとする意識が強くなると「バットが下から出る」という表現になる。

 逆に、「バットのヘッドが立っている」という表現は、地面との平行よりも、少しだけバットに角度がついている状態だ。日本では、この状態を概して「レベルスイング」と呼ぶ。

 このコンタクトの瞬間に、右打者なら右腕、左打者なら左腕を押し込む。スローモーションでみれば、この「回旋」の動きがよく分かると思う。これによって、ボールにスピン回転をつけ、打球を上げるのだ。

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