オリックス“ラオウ”杉本裕太郎を覚醒!“イチローを超えかけた男”根鈴雄次が語る「打撃理論の神髄」
“真逆”の打撃理論
杉本が、この「根鈴道場」に通うきっかけとなったのが、根鈴が徳島でプレーしていた当時、独立リーグ・福岡でプレーしていた捕手で、現オリックスの球団スタッフとして、ブルペン捕手を務めている瓜野純嗣の“ひらめき”だった。
根鈴の強烈なスイングをマスク越しに見ていた瓜野は、同じようなスイングスピードを持ちながら、伸び悩み続けていた杉本を「根鈴さんと掛け合わせてみたら、ひょっとしたらとんでもないことが起こるのかもしれないと思った」という。
「ウチに、すごいヤツがいるんで、一度見てやってもらえませんか」
瓜野の紹介を受け、杉本は友人の結婚式に出席するために上京した2018年12月、キャンプインを前にしたその時期に、初めて根鈴道場へ足を運んだ。
「スーツ姿で、ここへ来ましたね」
懐かしそうに、根鈴がその出会いを振り返ってくれた。その打撃理論は、日本のスタンダードともいえる振り方とは、完全に“真逆”だった。
「ちょっと、やってみましょうか。こっちの方が分かりやすいですから」
小さめのサッカーボールを、実際に打ちながらの“解説”の中に、杉本を開眼させたエキスが、あちらこちらに散りばめられていた。
最大のポイントを、先に記しておこう。「横」ではなく「縦」。根鈴理論の根幹が、この一行に凝縮されている。
「本人は分かっていても、周りは違うと思っているんだろうな。飛ばそうと思って、アッパースイングをしていると思われている。そこが違うんだよな」
そう言いながら、根鈴はサッカーボールを地面に置き、ゴルフスイングのごとく、バットでボールをヒットした【写真1】。
「例えば、サッカーボールになっちゃうけど、これを打球が上がるようにバットを出せる唯一の方法が、バットがボーンと下に落ちてきた時に、この角度でボールにバットがズボッと入って、ズボッと押すと、斜めに上がるんですよ。ゴルフの理論です」
[2/4ページ]