ピスタチオ解散後のピン芸人「伊地知大樹」に注目すべき理由

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伊地知の新たな可能性

 コンビを解散して、小澤は芸人を引退して児童福祉の道に進む。一方、伊地知はピン芸人として活動を続けるという。コンビ解散は伊地知にとってピンチのように見えるかもしれないが、個人的にはこれが新たなチャンスになる可能性もあるのではないか、と見ている。なぜなら、伊地知のもともとのキャラクターは「白目漫才」を演じているときのものとはかけ離れているからだ。

 実は伊地知は、新宿・歌舞伎町のホストクラブで「No.1」になったこともある元ホスト芸人である。自他ともに認めるチャラ男キャラであり、ネタのキャラクターと本人の実像のギャップが大きかった。コンビとしての人気がやや落ち着いてからは、個人で恋愛相談ライブや婚活イベントの仕事なども行っていた。

 そんな伊地知は、最近の芸人には珍しく、豪快で親分肌の一面を持っている。ニューヨークのYouTubeチャンネルで公開された「伊地知大好き芸人」というテーマの動画では、彼を慕う後輩芸人が集まり、伊地知の人間としての魅力や、過去のエピソードを語っていた。

 伊地知はホスト時代に月収400万円以上を稼いでいたこともあり、後輩におごるときには金に糸目をつけない。一晩で10万、20万を平気で使うこともあったという。

 三四郎のラジオ番組にゲストとして出演したときにも、先輩の三四郎の小宮浩信に対して執拗に絡んで嫌われた過去があることが明かされ、「ただのDQN(軽薄で不良っぽい人)」と言われていた。

 今どきの芸人には内向的なタイプが多いので、伊地知のような「オラオラ系」の人は珍しい。そういう芸人っぽくない部分が今後は面白がられる可能性も十分ある。ピスタチオという看板を失ったことで、過去のイメージに縛られることがなくなり、のびのびと活動できるようになるのではないか。今後の彼の活動に注目したい。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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