「一度は5千万円取り戻した」 山上容疑者の伯父が明かす統一教会との金銭トラブルと“凄絶ネグレクト”

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自分たちの教義に反するものはサタン

 統一教会といえば、1980年代以降に高額な壺などを買わせる霊感商法がクローズアップされた。宗教ジャーナリストの藤倉善郎氏が解説する。

「統一教会は朝鮮半島の、キリスト教を模した新宗教です。教祖である故・文鮮明の祝福を受けて、生まれた子供は原罪を背負っていないとして、神聖視されます。そのために合同結婚式が行われているのです」

 霊感商法については、

「“先祖の因縁が深い”“供養しないと家族が不幸になる”などと脅し、数百万円もする壺などを関連会社を通じ信者に買わせていた。それが露見し、社会的に大きな問題となりました。近年は勧誘の仕方がだいぶマイルドになったといわれています。しかし、本質は変わっていない。自分たちの教義に反する者はサタン、すなわち悪魔だという考えですから」

 徹也の母はそうした教義に忠実だったのだろうが、自宅を売った後はあっという間に転落していく。祖父の死後、建設会社の社長を務めていたにもかかわらず、2002年に破産するのだ。

 地元の建設業界関係者は当時を振り返り、驚きを隠さない。

「実は90年代半ばの時点で建設会社の業績は非常に好調でした。ある年には、年商6億円、3千万円近くの利益を出したそうです。中堅建設会社の下請けで、関西圏のトンネル工事などを請け負っていた。それなのに……。結果的に建設会社は休眠状態となり、09年に解散しています」

自衛隊任期中の2005年に自殺未遂

 母が破産した年、伯父から経済的支援を受け、専門学校を出た徹也は任期自衛官として海上自衛隊に入隊する。しかし、ここでも“事件”は起きた。

「任期中の05年に自殺未遂を起こしているのです。一命は取り留めたものの、防衛庁が運営する自衛隊病院に入院しました。自殺を図ったきっかけは統一教会だった。母親のことで相当悩んでおり、結局、このことがきっかけで退官してしまうのです」(防衛省関係者)

 退官後は、測量会社や派遣社員としてリフト作業に従事するなど職を転々。その間、徹也と親族間の交流は少なからずあったようだが、さらなる家族の断絶を招いたのが兄の死だった。今から7年ほど前、病を苦に自殺してしまうのだ。まさに不幸の連鎖である。

 山上家の親族が重い口を開く。

「葬儀の時、てっちゃんは“何で兄ちゃん死んだんや”“アホやなあ、生きてたらええことあるのに”と言っていたので、この子は大丈夫やと思ったんです。だけど、寡黙だったのがその後ますます話さなくなり、飲みにでも誘おうと思い電話しても出てくれない。ここ数年、彼は妹とも必要最小限のことしか連絡していなかったようです」

 この間、徹也が胸の内でたぎらせていたのは、統一教会、そして安倍元総理への憎しみだった。

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