対ロ経済制裁中でも「中古車輸出」大盛況の理由 「600万円以上の高級車が規制の対象」
ウクライナ侵攻への経済制裁に対してロシアが石油・天然ガスの合弁事業「サハリン2」の国有化を示唆するなど、日ロ関係は経済面でも緊張が高まっている。
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ところが、中古車ビジネスは別なのだという。
7月1日に大阪税関が発表した北陸3県の貿易概況によると、自動車輸出は約72億円と対前年同月比で117.4%の伸びとなった。このうち富山県は67億円を占めており、大半が同県の伏木富山港などから輸出される中古車なのだという。
「伏木富山港の周辺には数十社の自動車輸出業者が集まっており、ここから輸出する先はパキスタンや中東、そしてロシアです。ロシア向けの中古車輸出はウクライナ侵攻の影響で3月にはいったん減ったものの、4月には増加に転じました」(富山県の中古車輸出業者)
富山とロシアの中古車ビジネスの歴史は古い。富山高専国際ビジネス学科の岡本勝規教授によると、
「1970年代、伏木富山港は旧ソ連の北洋材を輸入する一大拠点だったのです。富山で荷を下ろし、ウラジオストクやナホトカに戻る際、空船ではもったいないと船員がアルバイトで中古車を積んで帰った。その後、北洋材は関税が高くなり輸入は減りましたが、代わって主流となったのが中古車輸出でした」
中古車はほとんど影響なし
だが、ウクライナ侵攻が始まってからは、日本も米欧に歩調を合わせてさまざまな制裁を科している。なぜ、中古車は今も大丈夫なのだろうか。
前出の輸出業者が言う。
「もちろん、自動車にも輸出規制がかけられました。しかし、600万円以上の高級車が規制の対象で、なんとそれ以下の額はOKなのです。従って、数十万円~200万円程度が中心の中古車はほとんど影響を受けていません。むしろトヨタなどが現地生産を停止したため、代わって日本製の中古車に対する需要が高まっているのです」
また、ロシアに対してはSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除も決まっているが、
「ロシアにはまだ制裁を受けていない銀行もあります。その口座を使えば取引も問題ありません」(同)