日本ハムの“未来”が中日より圧倒的に明るい理由

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清宮、野村ら若手野手の台頭

「ビッグボス」こと新庄剛志、そして「ミスタードラゴンズ」の立浪和義を新監督に迎え、オフには話題の中心となっていた日本ハムと中日だが、現時点ではともに最下位と苦しい戦いが続いている(7月13日終了時点)。【西尾典文/野球ライター】

 日本ハムは高額な年俸で契約した新外国人のガントとヌニエスがいずれも機能せず、中日は将来の主砲として期待された石川昂弥が怪我で長期離脱となるなど、様々な誤算はあったとはいえ、他球団と比べて戦力的に厳しいことは間違いない。しかし、今シーズンの成績こそ芳しくないが、どちらのチームの将来が明るいかと言えば、圧倒的に日本ハムになるのではないだろうか。

 特に大きいのが若手野手の台頭である。昨年は一軍出場無しに終わった清宮幸太郎が前半戦だけで二桁本塁打をクリア。打率は2割5分前後と決して高くはないが、出塁率と長打率の合計である「OPS」は強打者の基準と言える8割を上回っている。打球方向がライトへ偏っているといった課題は残されているものの、オフから取り組んできた減量と打撃フォーム改善が結果に繋がったことは高く評価できるだろう。

 さらに、高卒4年目の野村佑希もサードのレギュラーに定着した。清宮と比べて打撃の安定感があり、3割近い打率を残している。同学年の万波中正は、打率が低い一方で、早くも二桁ホームランを放つなど、長打力は大きな魅力だ。

 今年大ブレイクした松本剛、近年大きな課題となっていた正捕手に定着した宇佐見真吾もまだ20代と若さがあり、外国人選手に頼らなくてもある程度長打が期待できる顔ぶれは揃いつつある。ここに守備と走塁が持ち味の上川畑大悟、五十幡亮汰、水野達稀などが加わってくれば、リーグでも上位の打線となることが期待できるだろう。

来年に向けた“整理の年”

 課題となるのは、現在、リーグ最下位の防御率となっている投手陣だが、こちらも顔ぶれは決して悪くない。先発は上沢直之や伊藤大海、加藤貴之が安定しており、根本悠楓や田中瑛斗、柿木蓮といった若手も成長が見られる。リリーフ陣はさえ整備できれば、ある程度、戦える戦力を揃っていると言えそうだ。

 今年の日本ハムは、来年に向けた“整理の年”として割り切って考えている関係者も多いという。

「本来なら今年から稲葉篤紀さんが監督になるのが既定路線でしたが、昨年までは思うように若手が伸びておらず、優勝を狙える戦力を整えてから、新庄さんから稲葉さんにバトンタッチしようという考えのようです。ちょうど、来年には札幌に新球場も開場しますからね。昨年オフに3人をノンテンダー(来季の契約を提示しないこと)にしたように、これまでも多くの主力選手を早めに見切ってきたこともあって、ファンからの批判が多いですが、その受け止め先として、ビッグボスのキャラが最適だったようです。ルーキーの北山亘基を開幕投手に抜擢し、オーダーをガチャで決めるなど破天荒なことが多いですが、清宮を筆頭に若手は確実に成長していますよね。投手陣を整備できれば、再び優勝争いができるチームになる可能性が高いと思います」(スポーツ紙担当記者)

 昨年は、主力選手だった中田翔(現・巨人)の暴行事件などとにかく暗い話題が多かったが、今年は低迷しながらもチームの雰囲気は明るくなっているという。悪い膿は今年のうちにすべて出し切って、来年以降に備えているとも言えそうだ。

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