ワクチン接種後に死亡の中日・木下雄介投手、未だに球団から補償金が支払われず
昨年8月3日、中日・木下雄介投手が妻と2人の幼児を残して急逝した。この一報が球界に衝撃を与えたのは、彼が27歳の若さだったからだけではない。それはコロナワクチン接種後の悲劇だったのだ。しかし、この時の状況について、球団は遺族にも満足な説明をしていないという。
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本誌(「週刊新潮」)(2021年8月5日号)が他メディアに先駆けて木下投手の異変を報じた際、中日ドラゴンズオーナーで、中日新聞社長でもある大島宇一郎氏(58)は取材に対して、
「(木下投手は新型コロナ)ワクチンを打った後、練習中に体調を崩して入院しており、(容体が)非常に厳しい状態だとは聞いています」
と、明かしていた。しかし、その死因等については正式に公表されることもないまま、今に至っている。
中日関係者が声を潜めて言う。
「球団は遺族にも木下投手が倒れた際の様子などを含めて一切、説明していませんでした。遺族側が昨年10月末、運営部長らに詰め寄り、初めて詳しい事情が明かされたのです」
実際、木下投手には何があったというのか。
もっと早くAEDが使えていたら…
生前、彼と親交のあった知人が打ち明ける。
「雄介は16年に育成枠で入団したのですが、昨年のオープン戦で、肩を脱臼してしまいました。致命的なけがで、彼もクビを覚悟していたようですが、来年度からも2年間契約してもらえることになった。そのため、投げることはできずとも、ランニングや下半身強化には打ち込んでいたんです」
そんな中、木下投手はオフ日に当たる昨年6月28日、モデルナ製ワクチン接種を受けることになる。
「副反応で腕は少し痛かったようですが、翌日から通常のリハビリメニューをこなしていたそうです」(同)
しばらく、木下投手に変わったところはなかったというが、7月6日午前11時7分、トレーニングルームで様子が急変する。
「下半身のウエイトトレーニングをした後、ベンチに腰掛けていたそうです。雄介が妙に大きく呼吸しだし、周囲の人間が異常に気付いて。その時の彼は、目は開いていても意識がなく、身体は硬直しているような状態だったとか」(同)
先の関係者の話。
「その場に居合わせたスタッフらは、すぐに救急措置を講じることができませんでした。トレーナーの一人が119番したのは、11時13分、異変から6分が経過していました」
さらに、AEDを使用し、心臓マッサージを開始したのは非常事態が発生して8分が過ぎてからだった。
「木下投手は病院のICUで緊急オぺを受け、心臓に機械を入れています。約1週間後には、心臓自体は蘇生し始めたものの、低酸素脳症に陥り、脳死状態と診断されてしまいました。もっと早くAEDを使えていたら……」(同)
最終的な死因は低酸素脳症による臓器不全だった。
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