終わらない「コロナの脅威」という無限ループ 熱を出すことさえ許されない日本の「空気」(ネットニュース編集者・中川淳一郎)
新型コロナ騒動とはなんだったのか? 本稿ではそこのところを総括してみる。結論としては、「終わらせる意思を権威がもち、その意思を下々の素直で従順な国民に伝え、恐怖から目覚めない限り、永遠に終わらない馬鹿無限ループ」である。
現実的でない
最近の例でいえば、「全国旅行支援」だ。本来7月11日に開始されるはずだったが、陽性者が6月から増え始めたことから実行か否かの決断を先送りし、参院選終了まで待った。そして参院選後、連日全国の陽性者数が激増したことから延期された。散々批判された2020年のGo Toトラベル以降、常にこの手の景気浮揚策は「様子見」→「世論の反発」→「延長・見送り」だらけである。そして根拠は「時期尚早」「現実的ではない」という非科学的なものだらけ。
そして、権威による指示に従う家畜の群れから離れる者は非国民として糾弾された。人種差別やジェンダー差別は、「絶対にやってはいけないこと」という意識がこの10年ほどで芽生えたが、「指示に従わず自粛せず、マスクせず、ワクチンを打たない少数派はいくらでも差別していい」ということになった。なぜならそこには「マスク非装着者・ワクチン非接種者は他人にコロナをうつす可能性のあるバイオテロリスト予備軍」という、“強固な前提”があるから。
本音では「もうやめたい」
その“前提”を権威が覆せなくなっているため、諸外国が「コロナは過去のもの」と次々と規制を解除し、コロナ前の状態に戻しているのに、日本はズルズルとやり続ける。権威も本音では「もうやめたい」と思っていることだろう。しかし、検討をしている間に、次の波が来て陽性者は激増。そこで「仕方ない、『コロナの脅威がまた始まった。引き続きマスクの着用、手洗いうがい、換気の徹底、ソーシャルディスタンスの維持、リモートワークに加え、人の集まる場所へは行かないようお願いします』だったよな、台本的には」と官房長官や知事や政府自治体のコロナ対策専門家組織、医師会が言っておけば素直な国民は従ってくれる。
第7波の報道・ツイッターの声を見ると完全に2020年夏の第2波の頃に戻った感じだ。あの頃は、4月から5月末までの自粛生活によりコロナは収束できたと考えられた。8月に入ると第2波となったが、この時に「夜の街で騒ぐ若者」「マスクをせずに出歩く者」「酒を飲む者」「我慢しきれずに遊びに行く者」が悪い、という設定が完成。2年にわたって「コロナ怖い教」の教典としてしぶとく生き残っている。
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