売上ノルマなし、帰宅は終電で… Z世代の歌舞伎町「医学部ホスト」が語る“ホワイト”な働き方

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人間としての「厚み」が欲しくて

 ホストをはじめて4年目の美樹は、日給7000円で働いている。出勤時間の当日18時までに「今日、出ます」と店に告げれば働け、特に売り上げノルマも課されていないそうだ。当然、ノルマ未達成の罰金もない。お客は「SNSやLINEで呼べそうだったらします」。一昔前には考えられない“ホワイト”な働き方だ。

「新人の時は17時にはお店に入り、19時にはミーティング、24時45分の閉店まで働く……という生活でした。その後、掃除当番だったら終わるのは26時過ぎ。だから働き始めてしばらくは歌舞伎の近くで同僚とルームシェアしていました。今は大学の近くで部屋を借りていて、終電で帰るようにしています」

 そう、美樹は大学4年生の学生ホスト。しかも、有名私立大学の医学部なのだ。見た目からはホストと分からない、むしろ今の若者の中では地味目な部類に入るのではないか。

 実家は北関東の開業医。医師の父と専業主婦の母の間に、3人兄弟の長男として生まれた。代々、医者の家系で、小さい頃から道は決まっていたそうだ。とくに将来に疑問を抱いたこともなかったというが、実家にいる頃から「東京に行ったらホストになる」と決めていたという。ローランド(29)をはじめとする、タレントとしてメディアに出ているホストたちを見て憧れた。ただ、スタンスはかなり“ゆるい”。

「収入は、平均すると月に10万円いくか、くらいの収入です。同じ時期に入って太客(多く大金を支払ってくれる顧客)を掴んで月収2000万の子もいます。そういう人も凄いと思う。だけど、僕は彼らと違って、着る物も持つ物にも全く興味が無いんです。今、1番興味あるのは経営です。IT関係の会社を友達と立ち上げたくて、先日、独学でファイナンシャルプランナーの資格を取得しました」

 その先には医者の道が約束されているのになぜ、ホストクラブで働いているのか。

「会社のスポンサー探しもありますが、やっぱり人間としての『厚み』が欲しいからですかね。歌舞伎町で働いてるとホントいろんな人に会えますから。自分にはランキングに入らないという“野心”もないです。ナンバーに入ったらその位置を維持していかなくちゃだめじゃないですか。それがいかに壮絶かは知っていますし、それこそ学生をやりながら出来ることじゃない。そんなに甘い世界じゃない。だから今の働き方で僕は充分。バイトで良いんです」

 彼の話にあったように、今も“ガチ”で働くホストはいる。その一方、彼のようなモチベーションで居ることが許されるホストが存在することに私は驚かされた。これが「今どき」のホストなのだろうか。

「そもそも大学の同級生には『バイト?なんでするの?』という人が多いです。だいたい実家が裕福ですからね。僕も仕送りはもらっていますが、家賃に消えます。生活はバイトして稼がないといけない。そこら辺は同級生たちとの価値観が違いますね」

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