元は取れる? 22億円を競走馬につぎ込んだ“ウマ娘”「藤田晋」の皮算用
ウマ娘が抱える問題
それでも藤田氏が競走馬にお金をかけるのには、別の理由が見えがくれする。そう、藤田氏率いるサーバーエージェントが手がける育成シミュレーションゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」だ。
「このゲーム、過去の名馬たちが女の子の姿になって登場するのですが、使われる馬名は全て実名なんです。これが長年の競馬ファンにも受けて、爆発的なヒットとなり、会社業績は過去最高値を更新したわけです」
ところが、こんな問題も。
「馬の実名を使う際に、制作側は、必ず馬主サイドに許可を取っているのですが、当然、断る馬主さんもいる。たとえば、日本史上最強と言われるレジェンド馬・ディープインパクトがウマ娘に登場しないのは、そのためです。他にもたくさんの名馬が、同じ理由で登場できていません。ウマ娘を継続していくためには、新たなキャラクターの投入は不可欠なので、これは地味に痛い問題であるとも言えます」
獲得賞金以上の価値
そこで藤田氏、自ら馬主となったというわけだ。
「まず自身が馬主となれば、他のオーナーさんたちとの人脈も作りやすいし、そうした個人的な関係が深まれば、許可が下りる可能性も出てきます。さらに、自らが巨額を投じれば、競馬界にもお金が落ちるわけで、貢献にもなる。投じるだけでウマ娘の宣伝にもなりますしね。さらに所有馬がG1ホースにでもなれば、許可なく、ウマ娘内で自由に使えるキャラクターになるわけですから、長い目で見れば、獲得賞金以上の利益がもたらされる可能性が高いというわけです」
今回購入した良血馬たちの中に、将来の「ウマ娘」は入っているか――。
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