安倍元首相を暗殺した山上容疑者が憎悪を募らせた「旧統一教会」 家族が信者になったことで「本当に家族がバラバラになりそうになった人」の話(その3)

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教団側の妨害とは?

 その一方で、その洗脳解除工作の最中にも、教団側の妨害が少なからずあったという。

「彼らの関連施設に予定通り戻ってこなかったことから、洗脳を解くために拉致されたと察知した教団側の面々が自宅近くをふらつくようになりました。警察に相談しても、“怪しい人がいるってことだけじゃ動けない”と言われるだけで何もしてくれなかったですね。教団側も必死なんだなと実感した瞬間でもありましたが」

 Aさんの姉はマンションに移ってから3ヶ月ほどで、かなりの部分で洗脳が解けたと見て取れるため、実家に戻ることになった。

「職場に対しては“しばらく休むことにします”と連絡を入れて休み始めたのですが、実情を打ち明けることがためらわれてそのまま退職することになったように思います。ただ姉は資格を持っていたので、その後、再就職することになっても特に問題視されることはなかったようです」

 洗脳が解けて行く中でAさんの姉が語った「洗脳の過程」はざっとこんな感じだったという。

きっかけは駅前で

「きっかけは職場との往来の際に使う駅の前で教団の女性に声をかけられ、“何か悩みはないですか?”と聞かれたということでした。小さいことも含めれば悩みなどない人はいませんし、姉のマジメな性格が災いしてその人の話に引きずり込まれていったようです。そうこうしているうちに教団の教義の説明が始まり、“あなたの全預金はいくらか教えなさい”と言われ、それを伝えると、霊感商法がスタートするといった流れだったようです」

 Aさんの姉は山上容疑者の母親のように身内の資産にまで手を出すようなことはなかったというが――。

「あの感じだと“当人が自由になる財産は根こそぎ、了解を得て寄付させる”というスタンスだったのだと思います。得られた額によって教団内での地位も上がっていくようにも感じました。一度も行ったことがない韓国の片田舎に連れて行かれ、一度も会ったこともない人と結婚させられるというのも常軌を逸しています。そういう無理をしたせいで社会問題化したのだと思いますよ」

 教団は今回の件について、母親の経済破綻後、強制的な寄付をさせていないと主張していた。Aさんは最後にこう語る。

「問題は対象となる寄付はたいてい洗脳下で行われるということでしょう。そういう状況で行われた寄付やお布施、そして献金というものは決して正当なものではないと感じます。今回の容疑者の旧統一教会を逆恨みしての凶行そのものは1ミリも理解できませんが、一方で信者を経済的に破綻するほど追い込んでしまったことに対して教団側から反省の弁がないことも理解に苦しみます」――。

デイリー新潮編集部

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