安倍元首相を暗殺した山上容疑者が憎悪を募らせた「旧統一教会」 家族が信者になったことで「本当に家族がバラバラになりそうになった人」の話(その3)

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母親がカネを注ぎ込みすぎて

 7月8日、街頭演説中の安倍晋三元首相(享年67)を銃撃して殺害した山上徹也容疑者(41)。その動機として、母親が入信する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の寄付をした結果、「自己破産し、家族がバラバラになった」と供述しているとされる。かつて、今回のケースと同様に家族が同教団に入信して多額のお布施をしたことで「家族がバラバラになりそうになった」Aさんから話を聞いた。

 これまでの流れを簡単に振り返っておこう。

 山上容疑者は「旧統一教会を日本に招き入れたのは岸信介元首相で、国内でそれを拡大させたのが安倍元首相だと信じていた。母親がこの教団にカネを注ぎ込みすぎて家庭が壊れた。絶対に許すことはできなかった」「教団トップを襲うことが現実的ではなかったため、ターゲットとしやすい安倍元首相に狙いを定めた」と語っている。
その供述には多分に妄想や誤解が含まれているものの、家庭が統一教会への献金によって崩壊したという部分は本人の実体験であり、またそういう家庭が多いのも事実である。

 かつて旧統一教会に入信した自身の姉が、教団側に洗脳(マインドコントロール)された結果、教団が勧める壷などに預金700〜800万円をつぎ込んだ結果、「家族がバラバラになりそうになった」というAさんが前回、前々回に引き続き、自身の家族の物語を語ってくれた。

洗脳を解くために

「姉は韓国の片田舎で合同結婚式を挙げた後、そのまま結婚相手と生活することなく帰国しました。普段通り生活する中で、キリスト教系の教会の人たちのサポートを得て奪還作戦をスタートさせました。数ヶ月に一度実家に戻ってくるタイミングを捉え、隔離した場所に運び込んで洗脳を解くやり方です」

 実家近くに借りたマンションに、Aさん家族は姉を連れて行くことになった。

「当初は部屋の片隅で膝を抱えて三角座りをして食事も摂らない感じでしたが、ここから逃げ出せない、窓などから飛び降りることができないと観念したのか、こちらが出す食事を食べるようになりました。それでも誰かが常に彼女の動向を見張っていなければならないので、かなり神経をすり減らす日々でした」

 あくまでも「あなたのことを思っての行動だ」ということを理解してもらったところで、洗脳を解くためにサポートの人たちが部屋を訪れるようになった。

「これも一筋縄ではいかなかったですが、サポートのためのマニュアルが確立しているようで、しばらくすると心を開くようになりました。細かいことは記憶していません。ただ、“あなた(=姉)にとって大事なのは誰か? その人たちが困るような状況を作ってしまうことをあなたはどう思うのか?”といった質問を投げかけて、大事なものとは何か、そのためにすべきことは何かについて気づかせる狙いがあったのだと思います」

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