巨人V逸なら「原監督」退任やむなし 後任候補4人には「理論派」から「クセ者」まで

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 プロ野球セ・リーグで巨人の原辰徳監督(63)の後任人事がにわかに注目を集め始めた。昨年オフに新たに3年契約を結び、「全権監督」として計16年目の長期政権となった今季は、首位のヤクルトに独走を許し、7月2日に史上最速記録となる優勝マジック「53」を点灯させてしまう始末。今季も日本一を逃せば、「退任は避けられない」との声も根強い。ポスト原の行方はいかに――。

2012年から日本一逃す

 消化試合数が異なるものの、巨人は今季7月10日時点で、失点数は12球団で断トツトップの372、チーム防御率も3.82と、こちらも12球団最低。ディフェンス面が酷い有りさまだ。何とかセ・リーグ2位を保っているが、貯金は0 で首位ヤクルトとのゲーム差は13まで引き離されている。

 まだ前半戦とはいえ、早くもリーグ制覇に黄色信号が灯っている現状を考えると、原監督の来季続投は、「短期決戦のクライマックスシリーズでヤクルトを下し、日本シリーズで念願の日本一」というシナリオが達成されない限り厳しそうだが、「原監督は短期決戦に本当に弱い。19年、20年の日本シリーズでは、2年連続で同じ相手のソフトバンクに4タテをくらう8連敗を喫していて、采配面の期待は薄い」(スポーツ紙記者)という。

 ヤクルトに独走でリーグ優勝を許し、日本一も逃せば、読売新聞の社長でもある山口寿一オーナー(65)もさすがに黙っていないだろうというのが周囲の見立てだ。ある巨人軍関係者は「今季終了後、原監督の契約期間はまだ2年残っているが、成績不振を理由に解任し、後任人事に着手する可能性は十分ある。昨年、原監督の一存で獲得した中田翔(33)も全く奮わず、山口オーナーは最近『若手が育たない』『原監督におごりがある』と周囲に漏らすことも多々あるようだ」と明かす。

 内野手では、チームの顔にまで成長した4番・岡本和真(26)や、二塁レギュラーの座を不動のものとした吉川尚輝(27)ら生え抜きの選手の活躍が光るが、別のスポーツ紙記者は「高橋由伸前監督(47)が打撃面で粘り強く指導した成果がここ数年で出ており、原監督の功績とはとてもいえない」と指摘。その上で、「原監督のカリスマ性、一言で雰囲気を変えられる『言葉力』も全く発揮されず、話題も日本ハムの新庄BIGBOSSにもっていかれており、もう限界だろう」と話している。

阿部慎之助がリードか

 では、原監督の後任には誰が就くのか。最有力候補となるのは、一軍の作戦兼ディフェンスチーフコーチを務める阿部慎之助(43)だろう。巨人史上最強の捕手として、現役時代も絶大な実力を発揮した阿部コーチは、高橋前監督の後任人事でも名前が挙がったほどで、球団の期待は大きい。「非常に体育会系で厳しいため、それが今の時代に合うのかという面だけが懸念点」(巨人関係者)というが、昨季は二軍監督を務めた阿部コーチのスパルタ指導を受けた「阿部チルドレン」らが二軍から呼び寄せられ、一軍で活躍した場面は少なくなく、「生え抜き巨人一筋」というのも次期監督候補として大きな強みになるはずだ。

 他の候補として名前が挙がるのは、桑田真澄・投手チーフコーチ(54)と元木大介・ヘッド兼オフェンスチーフコーチ(50)。桑田コーチは昨季、初めてコーチ補佐に就任してプロの指導者としての道をスタート。先発投手は「中6日で9回135球」と完投を理想とし、徹底的な個別指導にもあたった戸郷翔征(22)が今季はすでに8勝をあげているが、その他の先発陣がパッとせず、中継ぎ陣も崩壊。失点数は12球団ワースト1位を独走中で、完全に立場を失っている。「新聞記者出身で緻密な考えを持つとされる山口オーナーは、桑田コーチのような理論派を好む」という声も聞こえるが、さすがにここまで結果を残せていないとなると、まだ監督の座を引き継ぐには厳しいかもしれない。

 一方、元木コーチは現役時代に「クセ者」の異名で活躍し、原監督の第三次政権スタートに合わせて19年に巨人コーチに就任した。その明るいキャラクターやSNSでの生ライブ配信などサービス精神旺盛な一面が注目されがちだが、実は指導者としての評価は高い。あるスポーツ紙記者は「巨人コーチに就任する直前の18年にU―12日本代表の監督を務め、世界一に導いた。若い選手をやる気にさせる言葉力、行動力がすごい。SNSの生ライブ配信に練習後の選手が飛び入り参加するなど、選手らの信頼も厚く、現場から元木監督の誕生を望む声も出ている」と話している。

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