日本の経済はなぜ「40年間一人負け」なのか 平均年収は韓国以下に

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 30年間も給料が上がらない日本は、経済が戦後の焦土さながらのどん底――。内閣府特命顧問も務めた経済学者の島田晴雄氏はそう見る。しかるに岸田総理が掲げる「新しい資本主義」は単なる項目の羅列だが、島田氏によれば、どん底から抜け出る策はあるという。

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〈日本人の賃金が上がらない。それが世界の趨勢ならまだしも、日本人の賃金だけが上がらない。

 OECD(経済協力開発機構)のデータによると、1990年に日本人の平均年収は約406万円だった。このときアメリカは約517万円、韓国は約240万円で、アメリカより約2割少ないが、韓国にくらべれば1.7倍の高賃金だった。

 それが2020年にはどうなったか。日本は30年前と同水準の約424万円で、約763万円のアメリカより4割少なく、約462万円に増えた韓国にも追い抜かされてしまった。ほかの先進諸国も、ドイツが約591万円、イギリスが約519万円、フランスが約501万円と、軒並み日本より高い。日本人の賃金はもはや先進国の最下位層にまで転落している。

 物価も上がっていないので、この事実に気付きにくい面もあるが、たとえば輸入品の価格は、高級ブランド品や輸入車などの贅沢品から食料品まで、30年前とくらべて激しく上昇している。この値上がり分は、諸外国では賃金の上昇で吸収できているが、日本ではできない。日本だけが沈没しているのである。

 この危機的状況に対し、岸田文雄総理は「新しい資本主義」を提唱したが、はたしてこれは、日本を再浮上させるのに有効な策なのか。慶應義塾大学名誉教授の島田晴雄氏の回答は「ノー」。総理は現状に対する認識が甘すぎると批判する。〉

40年周期でピークとどん底を相互に経験

 日本経済はおよそ40年周期で、ピークとどん底を交互に経験しています。1945年を基準に考えてみましょう。第2次世界大戦で日本の戦死者は310万人に及び、東京は一面の焼け野原になり、日本経済もどん底でした。では、その40年前はどうだったでしょうか。1905年は日露戦争に勝利し、欧米諸国と肩を並べた年です。その40年前の1865年は幕末の混乱期。前年に長州藩が禁門の変を起こすなど社会不安が増し、元治から慶応に改元されています。

 一方、終戦から40年後の1985年はご存じの通り、バブル経済の入り口で、事実、日本は世界に冠たる経済大国でした。日本のGDPは80年代半ばに世界の15%を占め、25%だったアメリカと合わせ、全世界の約4割を担っていました。89年には日本のGDPシェアは19%に達し、1人当たりGDPで世界一の瞬間もありました。

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