高専生自殺未遂で同級生の父に「2億円賠償命令」の理由 学校ぐるみで”凄絶いやがらせ”が
学校側の対応に問題が
息子可愛さからか、山田氏はまず、匿名で学校に電話を入れ、“石原君が婦女暴行まがいの行為を働いたので調査してほしい”と通報。また、石原君とクラス担任にも、同様の趣旨をやはり匿名でメールし、問題は学校側の知るところに。
「裁判では、榊原さんが山田氏に性行為を明確に否定しなかったことが、山田氏の脅迫行為を助長したのではないかという部分も争点になりました」(同)
さらに山田氏はTwitterの機能も使い、これも匿名で、石原君のアカウントに宛てて、〈性犯罪者って再犯率が高いんだって?〉などと投稿。石原君を追い込んでいく。先の記者が言う。
「その後、山田氏は高専側に素性を明かした上で、学生主事の沢村誠二氏(仮名)に対して、石原君を榊原さんに近づけぬよう申し入れを行います。その学生主事がまた問題で、騒動を収めることを優先。石原君の言い分も聞かず、彼に対して、榊原さんに近づいたらストーカーとして指導することになる、そうなれば保護者にも連絡することになる、と強い口調で“指導”してしまったのです」
遺書の中身
先生にも一方的にストーカー扱いされて見放された石原君は、山田氏から電話やメールで直接の面会を強要されて人生に絶望。自殺を図った当日には、次のような遺書もしたためている。
〈今日僕が死んだのであれば、原因は沢村誠二と山田義男にある。この2人は僕を犯罪者にしたてあげた〉
地裁は榊原さんについては当時、未成年者であり、山田氏を止めるのは容易ではなかったと認定。山田氏のあまりの勢いに、榊原さんが本当の事を言えなくなった可能性があったとしたら、悲劇と言うほかない。一方、山田氏と学校側については、その責任を認めている。
前出記者の話。
「学校側と山田氏は総額1億8529万7240円の賠償金を支払う義務を連帯で負いましたが、その内、約1億円は石原君が失った将来の逸失利益を根拠に算定したものです」
事の経緯を詳しく聞くべく、山田氏に自宅で声を掛けたが、「お帰り下さい」と、にべもない。
また、沢村氏も、
「個人ではお答えできません」
一方の石原君の父親も黙して語らず。運営母体の高専機構は、
「判決の内容に疑問が残るところがあり、控訴審において当機構の見解を正しくご理解いただくために控訴することといたしました」
などと、“不満”がある様子をうかがわせる。
だが、男子学生は車椅子生活を余儀なくされた上、排泄機能にも障害を負わされたのである。
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