中日“謎トレード”に地元も冷ややか 立浪監督とフロントの微妙な関係が露呈

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チーム得点数、本塁打数ともリーグ最下位

 7月8日、オリックスの後藤駿太と中日の石岡諒太の交換トレードが発表された。“ミスタードラゴンズ”である立浪和義新監督を迎えながらも、最下位に沈むチームにとって、5月に日本海オセアンリーグ・富山から加入した右腕・タバ―レスや育成契約の外国人を除くと、今シーズン最初の“補強らしい補強”と言えるが、ファンの間からは、今回のトレードに対して歓迎というよりもむしろ戸惑いの声が広がっている。【西尾典文/野球ライター】

 中日はここまでチーム得点数、本塁打数ともリーグ最下位となっており、打撃陣が課題であることは火を見るよりも明らかだ。しかし、今回獲得した後藤は、今年でプロ12年目となるが、通算打率は.220、通算本塁打は15本にとどまっており、完全に“守備と走塁が持ち味”の選手である。打撃陣の強化という意味では、正直にいって、大きなプラスになるとは考えにくいだろう。

 中日の“不可解なトレード”はこれが初めてではない。2019年にはオリックスから武田健吾、昨シーズンの途中にもロッテから加藤翔平と“守備型の外野手”を相次いで獲得している。

 2019年のチーム打率はリーグトップだったものの、チーム本塁打数はリーグワーストであり、この時も得点力が高かったわけではない。現に武田は守備での貢献度は大きかったものの、打撃面での成績は芳しくなく、昨シーズン終了後には自由契約となった。また、昨年加入した加藤は、移籍後に放ったホームランはわずかに1本であり、今年も打率1割台と成績を残すことができていない。

 そこに同じようなタイプの後藤が加入するということに、地元・名古屋の反応も冷ややかだという。

バランスを欠く補強

「今年ここまで他球団も含めてトレードがなかったので、ニュースが飛び込んできた時は『誰を獲得するんだ?』と期待したのですが、後藤選手と聞いた時には地元の関係者からも『なんで?』という声が多かったですね。石岡選手は二軍でもずっと好調だったので、より一層不可解です。オリックス側からの持ちかけだったようですが、だったら他にも交換要員がいたんじゃないかという声が多く聞かれます。あと、昨年のドラフトで3人の外野手を獲得しているのに、タイプは違うとはいえ、また外野手が増えるという点もバランスが良いとは思えません。今年売り出し中の岡林(勇希)選手が内野もやるという話も出ていますが、それにしても“納得感のないトレード”というのが正直なところですね」(地元テレビ局のスポーツ担当記者)

 前出の記者の話にもあるように、昨年のシーズン途中に加藤、ドラフトでルーキー3人、そして、今回の後藤と、短期間で5人の外野手が入団したことになる。

 戦力になるまで時間がかかる高校生なら分からなくもないが、ルーキー3人はいずれも大学卒の選手で、岡林以外の若手にも、高卒4年目の伊藤康祐や内野手登録ながら外野を守れる高卒6年目の石垣雅海が控えている。これでは、バランスを欠く補強と言われても仕方がないだろう。

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