「六本木クラス」第1話で3つの違和感 浮き彫りになる「韓国ドラマ」リメイクの難しさ

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香川照之の土下座要求

「そもそも韓国ドラマのリメイクは難しいのです。日本と韓国では、同じアジア圏ではあるものの、国民性も文化も違いますからね」

 木曜ドラマには韓国ドラマをリメイクした「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」(19年7月期、主演:大森南朋)もあった。ちなみに初回視聴率は14・3%だった。

「あれは解剖医による事件ものでしたから、それほど違和感がありませんでした。『六本木クラス』の場合は、初回から高校でのイジメが描かれました。日本ではイジメが社会問題にもなっているため、早乙女が御曹司であることを笠に着て、クラスの同級生を執拗にイジメているシーンを見ていられないという人もいたでしょう」

 財閥一族があからさまに政界や経済界に影響力を持ち、威張るのは、大韓航空の“ナッツ姫”を見るまでもなく、韓国特有の文化でもある。

「イジメを止めに入って早乙女を殴ってしまった竹内に対し、父の香川が校長室に現れ、『息子の前で土下座をして謝りなさい!』と迫るのも、日本で実際には見られない光景でしょう」

 むしろ香川の場合は、また土下座か、という気もしたが……。

「香川は、土下座シーンから逆算したキャスティングなのかもしれません。でも、韓国版と比べると、香川は育ちも良さそうで、凄味も弱く思えます」

 最後は、香川が震えながら、竹内に対して土下座をすることになるのだろうか。

コントにしか見えない

「すでに“土下座合戦”の伏線が敷かれているようにも見えます。竹内は、父(光石研)が轢き逃げされ、それが早乙女による犯行と分かると病院に直行。韓国版では、たまたまタバコを吸うためにキム・ドンヒ(外食大手社長の息子=早乙女)が病院の外に出てきたのですが、『六本木クラス』では、なぜか雨の中で早乙女がベンチに座って菓子を食べながら待っているという違和感のあるシーンになっていました」

 韓国では高校3年生で煙草が吸えるのだろうか。

「韓国は数え年の19歳から可能だそうですから、高3の正月明けであれば大丈夫なのでしょう。飲酒も同様で、そのため韓国版では親子で酒を飲むシーンがあります。もちろん日本では無理なので、『六本木クラス』では光石が竹内に酒の入ったおちょこを渡し、それを飲もうとする竹内の手を振り払うという無理矢理感のあるシーンもありました」

 そこまで同じにしなくてもいいと思うが……。

「韓国版を見ていた人には、そこまでやらないと納得しない人もいるのでしょう。竹内の髪型は、韓国版の主演俳優、パク・ソジュンを真似ていますが、これは『コントにしか見えない』と評判もあまり良くありません。結局、フタを開けてみれば、『梨泰院クラス』のファンしか盛り上がっていなかったようです。つまりテレ朝は、新たな視聴者層の獲得を狙って『六本木クラス』を制作したものの、本家の『梨泰院クラス』と比較して視聴されただけだったようなのです」

 しかも、多くはTVerでの見逃し配信だ。

「その挙げ句、《韓国版のほうがよくできている》、《また『梨泰院クラス』が見たくなった!》という意見がSNS上を埋め尽くしました。Netflixでは、『梨泰院クラス』が久しぶりに“視聴人気ベスト10”入りしています」

 前途多難である。

「得をしたのは、テレ朝に原作リメイク権を売った韓国の制作会社と、本家を見たいと視聴回数が急増したNetflixの2社ということになります」

デイリー新潮編集部

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