安倍元首相を暗殺した山上容疑者の動機「旧統一教会」への恨み 家族が信者になって「本当に家族がバラバラになりそうになった人」の話(その1)

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素敵な壺があるから見てみない?

 Aさんが続ける。

「1度実家を出て行くと、ほとんど寄り付かなくなりましたね。引っ越し先は自転車で20分くらいのところなのでちょくちょく顔を出すのかなと思っていましたが、3~4か月とかそれくらいに1度くらいのペースになったんです。当時は携帯電話も一般的ではなく、固定電話の時代です。時々、彼女から実家に電話があって私がたいていそれを受けるのですが、“元気でやってる?”といった会話の中で、“素敵な壺があるから見てみない?”といったようなことを言うんですね。まだ働いてもいない立場なのでスルーして終りでしたが、“なんか怪しいよな~”みたいな会話を両親とはしていました」

 加えて姉は、両親にお金の無心をしていたという。

「あんまりちゃんと確認したわけではないのですが、両親が言いづらそうに、そう呟いていたことがありました。姉は先ほどお話ししたようにマジメなタイプで外食もほとんどせず、流行のファッションとか美容とかを追いかけるようなことはせずお給料の一部を実家に入れる以外は貯金していました。社会人生活3年とかで700~800万円くらいは貯まっていたと聞いていたので、そんな姉なのになんでお金が足りなくなるの?って感じでしたね」

霊感商法から旧統一教会へ

 他方、Aさんの両親は彼女の動きを不審に思い、各方面に懸命な働きかけをしてきたという。

「あの頃はスマホもなく、パソコンもさほど一般的ではありませんでしたから、どうアプローチしたのかハッキリとはしませんが、おそらく壺とかあったはずのお金がなくなっているとかそういったキーワードを手掛かりにしたのでしょう。そこから霊感商法、ひいては旧統一教会にたどり着き、そのテーマに強い人たちに相談をもちかけていたようです。そうこうしているうちに、姉がしばしば通っている集会所を突き止めるなどして、入信している事実を把握したのだと思います」

 両親のみならずAさんとしてはショックだっただろうが、

「確かにそうですね。両親は互いの教育方針をなじったりして家庭内が不穏になることもよくありました。ただ、姉からのお金の無心を受け入れることはなかったので、山上容疑者の家庭のように破綻することもなく、家族がバラバラになることも回避できたのかなと感じています」

 そうこうするうちに、Aさんの姉が韓国に渡って結婚式に出席することが伝えられてきたという(その2に続く)。

デイリー新潮編集部

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