大阪・2歳女児虐待死 異常なスパルタ教育の実態と実父によるDV
行政の対応は不十分
事件後、富田林市の吉村善美市長は行政の対応が「不十分だった」と述べたが、結果的にはさまざまなシグナルは見逃され、周囲の大人たちが幼い命を救い出すことはできなかった。
「血のつながった孫だから愛情を注ぐものだろう、育てる能力があると判断するのは幻想だと思います」
そう指摘するのは、心理の専門家として都内の児童相談所に勤務後、家族問題カウンセラーとして子育てなどの問題に取り組む山脇由貴子氏だ。
「今回のケースでいえば、亡くなった優陽ちゃんの両親が育てられない状況でも、祖母がいるから大丈夫とした行政の判断が率直に言って誤りだったと思います。逮捕された小野容疑者には内縁関係にあった夫との間に実子がいた。そこに愛情の違いが出てしまったとしても不思議ではありませんし、“どうして私が子育てを押し付けられないといけないの”と、不満を抱えていた可能性は否めません。そうした家族間の関係も含めて児童相談所は家庭訪問なども行い、もっと調査すべきだったと思います」
突然、愛娘を失った優陽ちゃんの実母は、大阪府内にある実家に身を寄せている。葬儀後、喪服姿の彼女はうつろな表情を浮かべ、両親に寄り添われ斎場を後にしていた。こちらの問いかけにもうつむいたままだったが、代わりに取材に応じてくれた実母の父は、
「捜査に支障がありますし、まだ今はそっとしておいてください……」
と、呟くのみ。亡くなった優陽ちゃんは、7月12日で3歳の誕生日を迎えるはずだったという。
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