古巣に復帰しなかったメジャー出戻り選手たち かつて「しょうもないチーム」とこき下ろした球団に移籍したケースも

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「世界の王」がラブコールを贈るも

 パドレス傘下の3Aエルパソを自由契約になった秋山翔吾が、古巣・西武、ソフトバンク、広島3球団と交渉の末、広島に入団した。当初は西武復帰が濃厚とみられ、ソフトバンクも有力視されていたが、広島との交渉の席で「(自分が目指している)2000安打(当時日米通算1476安打)という言葉が出てきたことをうれしく思った」のが決め手になったという。過去にも秋山同様、古巣ではなく、他球団に移籍した選手は少なくない。彼らはどんな事情や理由から古巣以外のチームを選んだのか振り返ってみよう。(金額はいずれも推定)【久保田龍雄/ライター】

 古巣・ソフトバンクに愛着を持ちながら、阪神入りを決めたのが、城島健司である。マリナーズ4年目の2009年、城島は故障やライバルの台頭などから、4年間で最少の71試合出場に終わった。

 フル出場できる環境を望んだ城島は、10月19日に球団との残り2年間の契約を破棄し、日本球界復帰を表明した。これに対し、ソフトバンク在籍時の監督だった王貞治球団取締役会長も同21日、「僕にとって思い入れがある選手だし、彼の存在感がホークスに必要」とラブコールを贈った。

 だが、いち早く獲得に動いたのは阪神だった。10月23日に南信男球団社長が福岡で城島と初交渉し、一気に条件提示も済ませた。ソフトバンクも翌24日夜、王会長が城島と初交渉を行ったが、条件提示には至らず、出遅れの感は否めなかった。

「100パーセント歓迎されなければ帰れない」

 実は、同年のシーズンで田上秀則が26本塁打を記録して正捕手に定着したことに加え、球団経営が厳しい中で、チームの看板選手である小久保裕紀、松中信彦とバランスを取る必要から、破格の条件は出せないという事情もあった。

 一方、城島も「100パーセント歓迎されなければ(福岡に)帰れない」と複雑な胸中をのぞかせた。そして10月27日、星野仙一・オーナー付シニアディレクターの「どうしても君の力が必要だ」の熱意に応える形で阪神入りが決定する。

「自分のわがままで帰ってきた僕を獲ることは、そんなに簡単じゃないのに、最初に手を挙げてくれ、交渉の席に着いてくれた。球団、現場すべてが一体となった誠意が伝わった」という理由からだった。

「4年前は戻ってくるのはホークスと疑わなかった」という城島。もし、復帰が正捕手不在の前年だったら、結果もまた違ったものになっていたかもしれない。

 一方、中日時代の契約更改で「評価は言葉じゃなく金額」の発言が話題になった福留孝介は、日本球界復帰に際しても、金銭的条件をめぐって、激しい争奪戦が繰り広げられた。

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