永野芽郁、町田啓太、竹内涼真……注目の7月期ドラマ3選、第1話から今後を占う

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テレビ朝日「六本木クラス」

 韓国で2020年に大ヒットしたドラマ「梨泰院クラス」のリメイク版なのは知られている通り。

 海外ドラマのリメイクは難しい。どうつくろうが、「原作と違う」といった声が上がる。逆に原作をなぞっても国柄の違いから不自然さが生じてしまう場合がある。このドラマの第1話の場合、ほぼ原作通りの構成だった。

 主人公は竹内涼真(29)が扮する宮部新。仲間とともに東京・六本木の飲食業界で成功を目指す物語だが、第1話は彼の高校時代から始まった。

 新は転校してきた直後、同級生をいじめる長屋龍河(早乙女太一、30)をブン殴って退学処分となる。龍河の父親が巨大外食企業・長屋ホールディングスの社長の長屋茂(香川照之、56)で、高校に多額の寄付をしていたからだ。

 この筋書きは原作に忠実なのだが、「韓国と日本は違うから、どうかなぁ」と思ってしまった。殴った経緯を考えると、日本で一発退学にするのは無理だろう。教育委員会が黙ってはいない。万一、教委が目を瞑ったら、退学無効を求める訴訟になりかねない。

 新の父親・宮部信二(光石研、60)は長屋ホールディングスに勤務していたため、新の退学を機に退職。親子で居酒屋を始めようとした。ところが信二が乗ったバイクが龍河の運転する車に追突され、信二は死亡する。  

 龍河は車を放置したまま逃げてしまい、替え玉が警察に出頭する。ここは原作を改変したことで不自然さが出てしまった。事故車両がありながら加害者を捕まえられないほど警察はマヌケか? 原作では事故の証拠が警察幹部によって握りつぶされた。

 ただし、リメイクで生じた細かい齟齬を除くと、全体的には面白い。新と茂は良くも悪しくもバイタリティーに満ち溢れた人物。ほかの登場人物たちもクセ者ぞろいだ。スマートな人物ばかり出てくる日本のドラマとは違う。泥臭くて熱いドラマになりそう。

 第1話の後半では新の元同級生・楠木優香(新木優子、28)の証言により、新は事故の本当の加害者が龍河であることを知る。すると新は龍河のところへ出向き、何度も顔面を殴打する。数えてみたら、計12回も殴った。駆けつけた刑事たちが止めなかったら、レンガで殴っていた。

 新は当然、逮捕される。懲役2年以上3年以下の不定期刑の判決を受けた。一方、龍河の事故は隠蔽された。新は収まらないだろう。

 復讐に燃える新が六本木でのし上がるのは次回以降だ。

※関東 世帯9.6% 個人5.2%

※関西 世帯10.8% 個人6.1%

※東海 世帯9.6% 個人5.4%

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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