「安倍元首相」暗殺 警備の大失態が「宗教団体トップより元首相の方が断然狙いやすい」ことを白日のもとに晒してしまった

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3Dプリンターなど使わずとも

 事実、安倍元首相に凶弾が向けられた後、選挙演説に飛び回る首相経験者の警備担当者には衝撃が走ったという。

「逆恨みは本当に怖い。今回のようなローンウルフ(一匹狼)型の犯罪は、本人の思い込みでいかようにも恨みをぶつけることはできてしまうわけです。首相経験者で言えば、例えば麻生太郎氏はリーマンショック時に首相をやっていましたから、“そのせいで仕事を失った”などと考える者がいるかもしれない」(同)

 その後の民主党政権時代でも、

「菅直人氏は『3・11』当時、首相でしたから原発事故の収拾に関して不平不満を募らせている人たちも少なからずいるでしょう。その次の野田佳彦氏は消費税アップを決め、解散総選挙を断行しました。しかし、例えばれいわ新選組の山本太郎代表のような経済政策を訴える人たちはさかんに”消費税をゼロに!”と言って、消費税がいかに低所得者層にとって重い負担となっているかをアピールしています。こうした主張に基づけば、野田氏を恨むこともできてしまう。何かのきっかけで、この種の負のエネルギーが増幅された輩が単独で動くと、事前に察知するのも難しい」(同)

弛緩した警察内の空気

 この関係者は、さらに、「3Dプリンターなど使わずとも、人力で殺傷能力のある銃を作製できることを知らしめてしまったことも根深い問題だ」と付け加える。

 その一方で、ある県の公安関係の部署に在籍する幹部はさらなる根本的な問題を指摘する。

「普段から警備の訓練はもちろんあるのですが、基本的にトラブルは起こらないという前提で訓練に取り組んでいる人がほとんどですね。要するに弛緩しているわけです。日本では銃規制が厳しく、銃器犯罪は組織犯罪、特に暴力団絡みがほとんどですから、その点も抜け落ちていたはず。と言うか、今回の現場にいた多くは銃への対応など頭の片隅にもなかったのではないでしょうか」

 それぞれの指摘、コメントから煎じ詰めると、極めて不幸な事件であるとはいえ、いつどこで起こってもおかしくなかった一件だと言うことになるだろうか。

デイリー新潮編集部

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