「SASUKE」が五輪種目に急浮上 絵空事ではないこれだけの理由

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活況を生んだXゲームの種目採用

「トルコのアンカラで6月下旬にワールドカップが開催されたのですが、それに続いて、6月26日、27日にテスト大会が行われ、そこでSASUKEが実施されました。開催にあたって、TBSさんに機材を借りられないか、UIPMから打診がありました」

 すごいところに目を付けた、と感服する。SASUKEは理屈抜きに面白い、ドラマチックだ。そして、この競技にチャレンジするアスリートたちには文句なしにリスペクトを抱く。

 テレビのエンターテインメント番組から生まれた競技が五輪種目に入る、そのことに抵抗を感じる人もいるかもしれない。だが、最近の五輪の傾向を思えば、採用は合点がいく。アメリカの若者を中心に人気沸騰していたXゲームの人気に押されていたオリンピックが、それと対抗するのでなく、スノーボード、スケートボード、BMXなど、Xゲームの人気種目をオリンピックに採り入れた。それがいまの新たな活況を生んでいる。

SASUKEで高得点を

 またIOCは、各種目の競技時間の目安を2時間にしている。運営上の理由とテレビ放映の都合だと言われている。元来はロングディスタンスから始まったトライアスロンも五輪では「オリンピック・ディスタンス」と呼ばれる距離で採用された。この距離なら2時間以内で終わる。ラグビーが15人制でなく7人制で行われるのも同様の理由だ。7人制なら3日間で優勝を決めることができる。15人制だと五輪期間では足りない。

 同じ理由で、近代五種も1996年のアトランタ五輪から劇的にルール変更が行われた。それまでは1日1種目、計5日間で行われていたが、5種目を1日で実施する競技に変貌した。オリンピック種目として生き残るためだった。そして今回も、オリンピックに残るために、馬術を捨て、新たな競技を探している。

 SASUKEが正式種目に決まったからといって、かつて番組で輝いたSASUKEの勇者たちが五輪で頂点に立てるかと言えば容易ではない。何しろ、ほかに水泳(200m自由形)、レーザーラン(800mのコースを走ってレーザーガンで射撃、これを4周する)、フェンシングに熟達する必要がある。時間がかかるし、費用もかかる。だがもし、陸上にも水泳にも長けたアスリートなら、SASUKEで高得点を稼いでメダルを狙うことも夢ではない。

 冨安事務局長が教えてくれた。

「いま高得点を取りやすいのは水泳と陸上です。これが得意な選手が上位に入る傾向があります。SASUKEが種目に選ばれた場合、どんなポイント制になるかが興味深いですね」

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