選挙特番“秘史” タモリの「センキョでいいとも!」「パンチDEセンキョ」 バラエティ化を進めたのはフジテレビだった
テレ朝「選挙ステーション」がもたらした変化
変化がもたらされたのは1986年7月の衆参ダブル選挙時。最初の「選挙ステーション」(テレビ朝日)が放送された。1985年10月にスタートした「ニュースステーション(Nステ)」の好調を受けてつくられた。
MCは「Nステ」と同じ久米宏氏(77)。硬さは一切なく、そのうえ分かりやすかった。テレ朝の開票特番はずっと人気薄だったが、「選挙ステーション」は民放でトップの視聴率を獲得する。
これに民放のライバル局は大いに刺激された。バラエティー化しなくても開票特番で高視聴率を得られることが分かったからだ。
「選挙ステーション」での久米氏による各党要人への質問は時に辛辣だった。相手がムッとする一幕も。これも旧来の選挙特番と違うところで、画期的だった。
2010年7月の参院選時に始まった池上彰氏(71)によるテレ東の選挙特番の原点は久米氏の「選挙ステーション」である。久米氏が政党要人に何でも聞いてしまうというスタイルをつくり上げたから、池上無双も生まれた。
出口調査導入で当確ミス乱発
1990年代からはNHKも民放も当確スピードの速さを開票特番の売り物にする時代になった。出口調査の導入がそれを可能にした。開票率0%でも当確が打てる(ゼロ打ち)ようになった。半面、導入初期は当確ミスが乱発された。
1993年7月の衆院選での当確ミスは実に計19件。NHKすら2件やらかした。日テレが4件、TBSが2件、フジが3件、テレ東が2件。「選挙ステーション」が好評を博していたテレ朝は6件も間違えてしまい、顰蹙を買った。
監督官庁の郵政省(現・総務省)としては見過ごせず、1995年7月に当確報道の正確化を要請する文書を各局に送付した。同省の介入に反発する声もテレビ界の一部にあったものの、放送法には「報道は事実をまげないですること」と明記されているので、仕方なかった。
以降、各局は出口調査の精度のアップに努めた。それでも2012年12月の衆院選時に日テレとTBSがそれぞれ1件、2014年12月の衆院選ではNHKが1件、2016年7月の参院選時にはテレ東が1件、間違えた。今回はどうなるか。
[2/3ページ]