「妻と一緒にゴルフを」 急逝「安倍晋三」元首相、最後のロングインタビューで明かした引退後の夢
総理の時に言いにくかったことを発信する
インタビューも佳境に入ってきたころ、竹山氏が単刀直入に尋ねた。
「安倍さん、もう一回総理やらないんですか」
「それはもう。十分長くやりましたしね」
軽く否定した後、滔々と語り始めた。
「ちょっと真面目な話をすると、マックス・ウエーバーが『職業としての政治』という本に書いているんですが、『自分が世間に捧げようとするものに対して、現実の世の中が自分の立場から見ていかに愚かで卑俗であろうとも、断じて挫けない人間。どんな事態に直面してもそれにもかかわらずと言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への天職を持つ』と。私はそういう天職を持っているかどうか。私にとって政治家を天職とする資質があるかどうか。総理大臣としていろんな激しい批判も受けるんだけど、そういうときにこの言葉を私も拳拳服膺しながら自らを励ましたんです」
そして今の自分の役割についてこう語った。
「総理大臣の時にはなかなか言いにくかったことも、ちゃんと発信していくのが、元総理としての役割なんだろうと思います。憲法改正っていう大きな事業について、残念ながら総理として成し遂げられなかった。今、一議員にはなりましたけれども、初めて議員になった時からの大きな目標ですから、何とか成し遂げたいと思っています」
台湾有事は日本有事、核共有の議論、日銀は政府の子会社などなど、強い発信が時に「元総理大臣としてはしたない」などと批判を浴びた安倍氏だが、それにめげる様子もなく、今後の発信に強い意欲を見せた。そして最後はいつになっても変わらない憲法改正に向けた意欲を示してインタビューは終わった。
安倍氏の残したものには功罪両面があるだろう。好かれもしたし、嫌われもした。しかし、ここまでやりたいことを明確に持ち、発信力を持った政治家が稀有だったことは間違いない。安倍晋三という政治家がこの国に存在したことを、私たちが忘れることはない。
(インタビューは6月25日深夜のABEMA SPECIALチャンネル「カンニング竹山の土曜The NIGHT」で放送したものです)
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