「妻と一緒にゴルフを」 急逝「安倍晋三」元首相、最後のロングインタビューで明かした引退後の夢
「(引退した後)大切なのは元気でいることですよね。妻もゴルフやるんだけど一緒にできたらいいと思いますね。妻はあんまり一緒にやりたくないと言っているんですが、ハハハ」
安倍晋三元首相はこう話して笑顔を見せた。通常国会が閉幕した翌日の6月16日、私とタレントのカンニング竹山氏は議員会館の事務所で安倍氏と向き合っていた。この日から選挙戦に入り、安倍氏にとって最後のロングインタビューになっただろう。この日、安倍氏が描いた引退後の夢はかなわなかった。突然の訃報に接し、安倍氏が何を語ったのかを伝えておきたい。【青山和弘/政治ジャーナリスト】
【写真を見る】36年前、昭恵さんとの結納を済ませた安倍晋三元首相。当時32歳。
「反論することで政権を8年も維持できた」
「お身体は大丈夫ですか」
インタビューの冒頭、今の体調を問うと安倍氏は元気に答えた。
「だいたい(大丈夫)ですね。(持病の薬以外に)免疫抑制剤も飲んでいたんですが、それは飲まなくてもいい状況になりました」
私は2004年、党幹事長代理時代の安倍氏の番記者になって以来、折に触れて安倍氏を取材してきた。体調はすっかり良さそうで、インタビューは予定の時間をオーバーして進んだ。安倍氏は総理大臣時代のストレスについて語った。
「例えば罵詈雑言的な意見もありますよね、事実に全く基づかないものも結構あるんですよ。いちいち真に受けて怒ることはストレスに繋がります。なるべく受け流していくようにしますし、週刊誌などは基本的に読まないですね」
批判は受け流したという安倍氏。その一方で「闘う政治家」を自認し、自席からの野次も含めて野党を挑発するような激しいやり取りが特徴的であった。振り返って「やりすぎた」という思いはないのか尋ねると、次のように言い切った。
「それはないですね。伝統的な自民党の国会対策上は、今、青山さんが言ったようにただ単に耐えて、その時をやり過ごすんですが、私はむしろ国民の前で論争した方がいいんだろうと思ったんですね。反論することで政権を8年近く持続することができたのかなと思ってます」
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