“史上最強”大阪桐蔭の「春夏連覇」を阻止できるか 対抗馬となりそうな有力5校の実力

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大阪桐蔭打線を抑えた「大型右腕」

 一方、武元は最速148キロのスピードを誇る大型右腕。昨秋までは安定感に乏しかったが、この春は課題だったコントロール、変化球ともにレベルアップし、リリーフで登板した近畿大会決勝で大阪桐蔭打線を4回無失点に抑え込み、チームを優勝に導いている。また、打者としても軽々スタンドに運ぶパワーがあり、投手、野手両面でプロのスカウト陣の注目を集めている。

「秋まではストレートは速くても頼れる変化球がなく、カウントを悪くして甘く入ったボールを打たれるということがよくありましたが、だいぶピッチングができるようになってきましたね。少し肘を下げて、体の前でボールを離せるようになり、スライダーやカットボールがバッターの近くで変化するようになりました。背番号1は、ピッチングがまとまっている塩路柊季がずっとつけていますけど、実質的なエースは、武元だと思います。(プロ向きの)素材という意味では、近畿ではナンバーワンかもしれませんね。バッティングもちょっとアッパースイング気味ですが、飛ばす力は凄い。打者として考えている球団もあると思います」(関西地区担当スカウト)

 昨年の智弁和歌山も選抜出場を逃したところから、力をつけて一気に夏の頂点へと駆け上がっている。渡部を筆頭にその経験があることは非常に大きく、2005年の駒大苫小牧以来となる、夏の甲子園連覇を十分狙えるチームと言えそうだ。

兄が大阪桐蔭という“因縁”

 同じ近畿勢でやはり忘れてはならないのが、選抜準優勝の近江だ。大黒柱はエースの山田陽翔。選抜では死球の影響で決勝では満足のいく投球ができず、春の近畿大会でも好投しながら右足が痙攣するなどアクシデントが続いたが、この夏に向けて調整は順調だという。

「去年の秋は肘を痛めていて投げられず、選抜もぶっつけ本番(※近江は、京都国際の出場辞退によって補欠校から出場)に近かったのに、あれだけ投げられるのは立派ですよね。最近のピッチャーでは珍しく気持ちが前面に出ており、それが投球にもプラスになるタイプだと思います。選抜でも結構、多くの球数を投げたので反動があるかなと思って見ていましたが、むしろ調子を上げてきました。背はそんなに大きくないにもかかわらず、体が強く、ボールに勢いがあると思います。近江は、もともと複数の投手が投げて勝ち上がるチームですから、上手く山田を休ませながら勝ち上がることができれば、夏もいいところまで行くかもしれませんね」(前出の関西地区担当スカウト)

 山田は兄が大阪桐蔭でプレーしていながら、自身は地元の近江に残り、その大阪桐蔭に立ち向かっているという“因縁”もある。春のリベンジに燃えており、前出のスカウトのコメント通り、上手く勝ち上がって万全の状態で登板することができれば、大阪桐蔭の強力打線でも打ち崩すのは簡単ではない。

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