ドラ1・吉野創士を育てた昌平高・黒坂監督、指導の原点はノムさんだった 厳しい練習で部員から胸ぐらを掴まれたことも

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部員たちは「野村さんの孫弟子」

 監督就任時に名将から授かった「野村の考え」を高校生向けにアレンジし、ミーティングで説いていく。組織論に戦略戦術。成長や進歩に必要なことは何か。貪欲にノートを取る若者の姿が、かつての自身に重なる。

「だから敢えて言っていますよ。俺は野村さんに教わったことを伝えているから、お前たちは野村さんの『孫弟子』だよって。この教えの灯火を次世代につないでいくのは、俺の使命だし、お前たちもいつか次の世代に教えてあげてくれって。今ね、指導者志望の選手が凄く多いんですよ。それがめちゃくちゃ嬉しい。レギュラーで試合に出られない子たちが、指導者の道に進みたいと言ってくれるんです」

 楽天ドラフト1位の吉野が生まれたのは野村がシダックス監督に就任した2003年。楽天監督だった頃の「ボヤキのノムさん」は幼き日の記憶にあるという。コロナ禍で緊急事態宣言が発令された2020年の自粛期間中、野球部の活動は休止されたが、実家に戻ると「野村の考え」をノートに写し、頭に叩き込んだ。

 シダックスのエッセンスを継承した「孫弟子」が、野村が魂を燃やした仙台でどのような活躍を見せるのか。

 野村は天国から、厳しくも温かい眼差しで見守っているに違いない。

デイリー新潮編集部

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