4630万円誤送金問題、田口被告が340万円返済で阿武町の被害額は0円 裁判にどう影響するか

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田口被告の行為は「悪質」

 毎日新聞は6月9日、西部版の朝刊に「山口・阿武町の誤入金:山口・阿武誤給付、24歳再逮捕 『返還要求されストレス』 300万円振り替え容疑 県警」の記事を掲載した。

 この記事で毎日新聞は、《被害の大半が穴埋めされたことは通常、被告に有利な事情となり得る》という認識から、検察関係者に取材を行っている。だが、その答えは「田口被告が返済したとは認められない」というものだった。

《ある検察関係者は「今回は被告が返還に尽力したわけではなく、過大に評価はできない」と指摘する。加えて、町の再三の返還請求を無視する形で使い込んだ行為の悪質さや社会に与えた影響を踏まえると、公判請求は避けられない状況だったとみる》

 世間一般の常識から見ると、《被告が返還に尽力したわけではなく、過大に評価はできない》という指摘を、妥当だと考える人は多いのではないだろうか。

「山口地検が起訴した時点で、検察側が『田口被告が返済したとは認められない』と判断したこと、更に、阿武町の処罰感情が強いことが浮き彫りになったのではないでしょうか。阿武町が『お金も大半が返ってきたので、穏便にお願いします』と検察に言うこともできたはずだからです。また、民事訴訟の取り下げも行っていません」(同・若狭弁護士)

求刑は懲役4年!?

 それでも田口被告の代理人弁護士が「完済」と言った裏には、ある狙いがあるようだ。

「阿武町は田口被告に対する民事訴訟で、約500万円の弁護士費用も請求しているのです。田口被告が『認許』を行った際、4630万円の返済は同意したものの、弁護士費用は争う姿勢を見せていました。ところが、340万円を返済した際、代理人弁護士は『弁護士費用も払う』と主張を一転させ、更に、阿武町に和解を提案したことを明かしたのです」(前出の記者)

 4630万円は全額を戻しましたし、弁護士費用も払いますから和解しましょう──こうしたメッセージを町に伝えるためにも、代理人弁護士としては「完済しました」と強調しておきたかったのではないだろうか。

 いずれにしても、今後は刑事裁判の行方に大きな注目が集まるのは間違いない。そもそも電子計算機使用詐欺罪は「10年以下の懲役」と、かなり重い罪になっている。

 過去の判例なども照らし合わせ、検察側が「執行猶予なしの懲役4年」を求刑してもおかしくない事件だと報じられてきた。

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