マスクを外さなければ「高齢者が千人単位で亡くなりかねない」 “濃い汗”をかく場合は要注意

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屋内と屋外、それぞれで必要な水分量は

 エアコンと並び、熱中症から身を守る「命綱」とされるのが水である。河村循環器病クリニックの河村剛史院長が指摘する。

「熱中症になる人のほとんどが、水分をとる習慣がない。残りは旅行などをしていて、水分補給を忘れてしまう人です。水分をこまめにとっていれば熱中症にはならないはずです。屋内で冷房を効かせていても油断できません。外で熱中症にかかる人は、外出する前にきちんと水分補給できていないことが多いです」

 それに関し、池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が実例を挙げる。

「つい先日、80代の女性が熱中症で入院したのですが、その方は駅から歩いて3分ほどの私のクリニックまでの道すがら、3回も座りこんでしまい、やさしい若者が連れてきてくれたのですが、点滴をして意識が戻ってから聞いてみると、“6月だからエアコンをつけていなかった”“水分を1日500ミリリットルも飲んでいなかった”。熱中症になる方の典型です」

 水分のとり方について河村院長の話に戻ると、

「のどが渇いてから自販機で500ミリリットルのペットボトルを買い、一気飲みする方がいますが危険です。人間が吸収できる水分量は200ミリリットルくらいで、残りは尿として排出されます。しかし、脳は水分が十分にとれたと思い込んで、水分不足の解消にはなっていません。屋内なら午前中500ミリリットル、夕食までに500ミリリットル、寝るまでに500ミリリットルはこまめに飲んでください。外出するならプラス1リットルを目安にし、1時間以上間を空けずに飲みましょう」

 また、秋津院長はこんなアドバイスをする。

「人間は砂漠でも、水さえあれば熱中症にならないので、就寝中は枕元や寝室のテーブルに水を置いておいてください。ただの水でもいいから、プラスで塩分もとること。たとえば梅干しにはクエン酸と適度な塩分、ミネラルが含まれ、高血圧や腎臓病で減塩をしている人でなければ、水分と別に補給するといいです」

スイカに塩、は理想的

 フルーツでもいい、と話すのは大谷院長である。

「糖尿病でないなら、フルーツを楽しむのもよいでしょう。特にスイカは、血圧が高くない方は塩をふって食べると塩分補給にもなります。フルーツの成分はほとんどが水で、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの電解質(イオン)が含まれ、そこに塩をかけてナトリウムを加えると、水分補給としては理想的。すばらしい夏の知恵です」

 だが、特に高齢者のなかには、コロナ禍の自粛生活で体力が弱っている人もいる。そういう人に助言するのは、「かくれ脱水委員会」委員でたかせクリニック理事長の高瀬義昌氏である。

「コロナ禍で出歩く機会が減り、体力や筋力が衰えてフレイルという状態に陥っている人も多く、熱中症のリスクが高まっていると思います。というのは、筋肉には水分とイオンが蓄えられていて、筋肉量が減るとその不足に直結します。つまり熱中症のなりやすさはフレイルと関係し、だから家にいても熱中症になることがある。気付かないうちに脱水症状になっているわけで、いまそのリスクが増していると思います」

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