マスクを外さなければ「高齢者が千人単位で亡くなりかねない」 “濃い汗”をかく場合は要注意

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高齢者が持つ「エアコンは体に悪い」というイメージ

 エアコンへの「罪悪感」に関して、熱中症を専門に研究している横浜国立大学教育学部教授(環境生理学)で医学博士の田中英登氏が解説する。

「1980年ごろの冷房は非常に冷たい風が出て、一定の温度まで下がると切れる単純なものでした。このため冷えすぎた経験がある高齢者が多く、エアコンは体によくないというイメージがあるようです。しかし、いまのエアコンは昔と違って調整がきき、つけっ放しでも害がありません」

 そして、就寝前の理想的な温度設定について説く。

「寝る前に一度、25~26度くらいに部屋を冷やし、眠ったら27~28度、または26度くらいになるように設定するといいと思います。入眠が大切で、そのとき27~28度と高めだと、なかなか寝つけない人もいるでしょう。眠れないことが続くと夏バテになって熱中症のリスクが高まるので、一度25~26度まで冷たくすることを勧めています」

冷却シートや冷却スプレーは使うべき?

 ちなみに、あまり電源をオン、オフしないのが節電の肝。むしろつけっ放しのほうが電力は消費されない。ただし、風が直接当たるのは避けるべきだという。

「体温が下がりすぎる可能性があるからで、間接的に気流があるのが一番いいです。私は寝る前に冷房のタイマーをセットし、同時にサーキュレーターも使っています。こうして部屋全体に気流を作ると心地よいです。2、3階で窓を開けて風を入れられるならそれもいい。除湿モードも活用できます。湿度も気温と同程度のストレス要因で、10%ほど下げれば、体感的には気温を2度くらい下げるのと同じ効果があります」

 ただ、体を冷やすのに冷却シートや冷却スプレーを使うと落とし穴もある、と田中教授は警鐘を鳴らす。

「ともにメンソールが主成分であることが多く、皮膚の温度センサーに作用して、たとえば同じ28度でも、暑く感じなくさせるだけです。体温が下がるわけではなく、熱中症予防にはなりません。汗をかいて帰宅し、28度の室温では涼しく感じないときに使うのはいいでしょう。しかし、屋外で35度くらいのとき、暑いという理由でこういうものを使うと、脳が涼しいと勘違いして体温調節がうまくいかず、汗をかかなくなる側面があります。本当に暑い状況では使うべきでありません」

 熱を放散するために、汗をかくことも大事なのだ。

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