2日の広島戦、巨人の投手起用に大きな疑問【柴田勲のセブンアイズ】

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「なぜ大勢を使わなかったのか」

 6月26日のヤクルト戦(神宮)、同点で迎えた8回に平内を起用して敗れた。四球からピンチを招いて村上に勝ち越し3ランを浴びて致命的な一敗を喫した。

 前回の当コラムで、「なぜ大勢を使わなかったのか」と記した。

 2日の広島戦では0対0の9回に平内をマウンドに送り、ライアン・マクブルームにサヨナラの2ランを浴びた。まるで再現シーンを見せられた気分だった。

 再び、なぜ大勢を使わなかったのかだ。6月29日の中日戦(ヨーク開成山スタジアム)では延長10回に勝ち越されて負けたが、同点の9回には大勢を起用している。サヨナラ勝ちにつなげようとの狙いからだろう。3人でピシャリと抑えている。

 この試合では思惑通りにはならなかったが、さかのぼれば4月9日のヤクルト戦(東京D)でも2対2で延長戦となった10回に大勢を起用している。巨人はその裏、立岡宗一郎のサヨナラ本塁打で勝っている。

 2日の広島戦、大勢に一言「行ってくれ」で済む話だ。1イニングだけではなく、2、3イニング任せればいい。また言うが、23歳と若い。大ベテランではない。大学時代は長いイニングを経験しているはずだし、連投もあっただろう。勉強にもなる。

 巨人は落とせない、落としたくないと判断したら使うべきだろう。なにを遠慮しているのか。勝ち試合で1イニング限定、そんな縛りなどないはずだ。

やっと吉川尚が「1番」に

 菅野智之にとって2日は中7日のマウンドとなった。広島打線7回を99球5安打無失点に封じてマウンドを降りたが、ここは決着が付くまで投げろではないか。8億円の年俸をもらっているエースだ。投げたいと直訴してもいい。途中で降りてどうする。

 昭和の考えなんて見方もあるだろうが、昭和、平成、令和も関係ないと思う。野球をお遊びでやっているのではない。勝負事をしているのだ。

 吉川尚がやっと「1番」に戻ってきた。やはり1番が似合うし打線が落ち着く。
 
 私なら1番・吉川尚、2番・坂本、3番・丸、4番・岡本和真、5番アダム・ウォーカー、6番グレゴリー・ポランコ、7番には大城、8番には中田翔とする。プライドがどうのこうのは関係ない。8番には中田の状況によって増田陸を使う。相手チームの先発が左なら7、8番を入れ替える。対戦相手が一番嫌がる打順ではないか。ノーマルだと思う。

 ヤクルトの大独走で2位以下の5球団は混戦模様となってきた。どんな状況になっても巨人は諦めない姿勢を見せてほしい。5日からはヤクルトを迎え撃つ。いまこそ巨人の底力を発揮してもらいたい。
(成績は4日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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