谷繁VS中村武志、因縁の元捕手ふたりが「投高打低」を解析 深刻な問題点が浮き彫りに

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大前提は「数値化」より芯で捉えること

 これに対し、中村氏は打者側に要因を求める。

 1985年、京都・花園高からドラフト1位で中日入りした。故星野仙一監督の薫陶を受け、正捕手に定着。谷繁氏のFAで中日入りした際、出場機会を求め、横浜に金銭トレードで移籍した。昨季まで韓国プロ野球を含む複数球団でコーチを務め、現役引退後も現場一筋だった。

 中村氏は6月23日付の静岡新聞のコラム「マスク目線」で投高打低のバックボーンを語っている。そこでは「複合的な要因」とした上で「一因には数値化された野球の弊害を挙げたい」と論を展開する。

 近年、日本球界では大リーグの影響で、軍事技術を応用した弾道測定器「トラックマン」などが導入され、投手なら回転数、打者ならスイングスピードなどあらゆる事象が数値化されるようになった。これが「投手には技術の向上につながったようだ」と言う。

 一方で昨季までの3年間、中日でコーチを務めた経験から、打者には「悪影響が多いと感じていた」。各打者の打球速度などのデータは壁に張り出されていたそうで「実績がない打者でも一喜一憂」していたという。数字にとらわれる姿には、投手が打者ではなくスピードガンと勝負するような違和感を覚えていたようで、打者には「数値を気にする前に、ボールにバットを当てよう」と諭していた。

 どんなにスイングスピードが速くても、またバットが適切な角度から出ていたとしても、その前提にはバットの芯にボールを当てなければならないという見解には一理ある。「数値ばかり追っていては投手優位の現状は変わらない」との主張だ。

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