中国で「特殊詐欺の架け子バイト」をして4年半投獄された日本人の告白「取り調べ室で吊るされて自白を強要された」

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ボスに気に入られた

 同房に日本人はゼロ。そのため、当初はいじめにもあったという。

「最初、新入りはみな立たされて、部屋のボスに一発殴られました。夜になると、小突かれたりもしました。言葉がわからないので、言い返すこともできない。不安な日々でした」

 だが、Aさんはしばらくすると、上手く立ち回ることに成功したという。

「ボスに取り入ることにも成功したのです。ボスは部屋の中に君臨しているんですが、影では嫌われていて友達が少なかった。僕は彼とトランプをしたりして打ち解けるようになった。部屋を管理する刑務官が日本人に好意的な人で、目をかけてくれたのも大きかった」

 ボスは覚醒剤の密輸で死刑を求刑されていた人物だった。しかも2度目の逮捕だったという。

「みんな自己中だと嫌っていましたが、僕は好きでした。僕が刑務所へ移送されていく時は、珍しく寂しそうな顔をして『手紙を書いてくれ』と言ってきましたね。後に、ほかの囚人仲間から、死刑が執行されたと便りをもらいました」

3カ月後に日本領事館の職員と面会

 薬物犯だけではなく、殺人犯もゴロゴロいたという。

「妻を殺したとか、喧嘩で人を殺したという16歳の子もいました。日本とは桁違いの貧困を見ました。みんなろくな教育を受けていないんです。字が書けない人も多かった。精神に異常をきたしている人もいて、あちこちで独り言が聞こえてきます」

 そんな地獄のような環境に叩き込まれたAさんだが、当初は、すぐに釈放され、強制送還されると思っていたという。

「僕が実際に詐欺電話をしたのは1日です。それも、ほとんどやっていないに等しかったので、詐欺罪が成立するような証拠など残っていない。すぐに強制送還されると思っていました」

 だが、拘置所暮らしが始まって3カ月。ようやく面会に訪れた日本領事館の職員から、Aさんは自分がたどる運命を“宣告”され、絶望するのである。

後編につづく)

デイリー新潮編集部

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