中国で「特殊詐欺の架け子バイト」をして4年半投獄された日本人の告白「取り調べ室で吊るされて自白を強要された」

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勤務時間は日本の銀行が稼働している時間帯

 そこで「今日からここが住居になる」と説明された。到着日は金曜日。土日は仕事がない。

「到着するなり、先週500万円の売上を達成した褒美とかで、僕らのチームはキャバクラに繰り出すことになりました。管理役の中国人2、3人と、架け子の日本人が3、4人くらいでしたかね。随分、景気がいいんだなと思いました。他にもいくつか拠点があって、数十人規模で動いていると後で知りました」

 いよいよ週明けから仕事が開始。作業場は隣のマンションの一室だった。勤務時間は日本の銀行が空いている時間帯。時差が日本よりマイナス1時間なので、朝7時頃から動き出し、昼過ぎには終わったという。朝食は管理している中国人がマクドナルドのセットを買ってきてくれた。昼食と夕食は各自だが、週に食事代として支給される400元で賄う。

 始業時に今日のリストとして、40~50人の日本人の住所と電話番号が書かれた名簿が架け子たちにコピーして配布される。架け子の日本人は3~4人いて、みなAさんと同じくらいの20~30代の男性だったという。

チェーンソーを使って扉は破られた

 架け子は「警官役」と「銀行員役」に分けられ、Aさんは警官役を担当した。例えば、住所に池袋と書いてあれば、「池袋署の……です」と名乗る。そして、「あなたの銀行口座が詐欺師に狙われ、危険な状況にある」と切り出すのだ。相手が乗ってきたら、銀行員役の架け子に引き継ぐという流れである。

「はなからやる気はなかったので、適当に電話して、相手が電話に出たとしても切ったりしました。結局、アポイントは一件も取れませんでした」

 Aさんの闇バイトはたった1日で終わる。この夜、現地の警察が宿舎に踏み込んできたのだ。

「深夜1時くらいだったと思います。インターフォンが鳴ったので玄関に行くと、警察が来ていた。部屋には僕を入れて3人がいて、みなで無視しようと決めた。けど、警察はチェーンソーを使ってドアを破ってきた。いきなり殴られ、手錠をかけられました。朝まで室内で待機させられた後、車で1時間ほどかけ、50キロほど離れた隣町・福清市の警察署まで連れていかれました」

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