食事療法と少量の抗がん剤を使用「がん共存療法」とは 『病院で死ぬということ』著者が自ら実践

ドクター新潮 医療 がん

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今後の人生の役割を確信

 この現状を放置したままでいいのか? こんな大問題があるのに、後は、がんの自然経過に任せればいいなどと、悟ったような余生のシナリオを描いていた自分を恥じるようになった。

 そして私は、体調良好な現状のうちに、「がん難民」を生み出しているがん医療の欠落部分の改善に取り組もうと考えるようになった。

 それが、ステージ4の当事者になった緩和ケア医である私の、今後の人生の役割だと確信するようになったのだ。

 だが、どうすればよいのだろう。課題の多い抗がん剤治療も、治癒に至ることが難しい以上、結局は数カ月から数年の「がんとの共存」を目指していることになる。

 であれば、抗がん剤ではない方法で、抗がん剤に代わり得る「がんと共存」できる方法を探してみようと考えた。

「がん難民」といわれる人々の足元を見るような療法ではなく、それらの人々が、残された時間を、少しでも長く、納得して生きることができる療法だ。

「がん共存療法」

 私はそれを「がん共存療法」と名付けることにした。詳細はスペースの都合上ご紹介できないが、私が考えている「がん共存療法」の定義と、その条件をお示ししたい。

〈定義〉「標準治療としての抗がん剤治療は選択したくない患者さん」を対象に、がんを可能な限り増殖させずに、少しでも長く、穏やかに、自分らしく生きることが可能な、がんとの共存を目指す治療法

〈対象〉ステージ4の固形がん患者さんで、標準治療としての抗がん剤治療の実状を理解した上で、抗がん剤治療は選択したくない方

〈条件〉

1 理論的であること

2 副作用が少ないこと

3 苦痛が少ないこと

4 より多くの患者さんが受けられるような方法であること(高額ではないこと)

5 医師であれば誰にもできること(緩和ケアに理解のある医師が望ましい)

6 どこでもできること

7 臨床試験を目指すこと

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