新助っ人「ウォーカー」絶好調の陰で、生え抜き外野手が活躍できない問題

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 プロ野球で巨人の助っ人外国人・ウォーカー外野手(30)が絶好調だ。米国独立リーグから新加入した今季は主軸の3番を任され、73試合に出場して打率.309、16本塁打(6月29日時点)と打撃面でチームに大きく貢献している。来日当初から課題だった守備面も、亀井善行外野守備兼走塁コーチ(39)による連日の個別指導で改善し、随所に好守備が光る。

 安定した成績を残す助っ人外国人野手は巨人では久しぶりだが、その裏では、生え抜き外野手が全く活躍できていない実態も浮かぶ。

ダイレクト返球に大絶賛の嵐

 6月28日に山形県で行われた巨人対中日戦。1-1の同点で迎えた4回2死で、中日選手が放ったレフト前ヒットをワンバウンドで捕球したウォーカーは、右腕を一振り。ボールはノーバウンドでキャッチャーに届き、本塁を狙った二塁ランナーはタッチアウトとなった。この日は打撃でも3安打で6対2の勝利に貢献した。インターネット上では、「鳥肌が立った」「亀井コーチのおかげ」「守備が巧くなっていて感動した」などとウォーカーを絶賛する声が相次ぎ、スポーツ紙などはこぞってこの場面を取り上げた。

 プロ野球の外野選手が、矢のような早急で捕殺を記録する場面はそう珍しくない光景であり、山形という狭い地方球場でのダイレクト返球にもかかわらず、一選手の捕殺がここまで注目されるということ自体、ある意味で異様だ。ただ、巨人加入当初は、「捕球や送球の守備技術は、プロの二軍レベルにすら達していなかった」(巨人軍関係者)というウォーカーゆえの称賛の嵐だった。

メジャー経験なし

 米国出身のウォーカーは2012年にメジャーリーグのドラフト3巡目(全体97位)でツインズに指名されプロ入りするも、メジャーでの出場はなし。ただ、独立リーグ時代の2020~21年には2年連続で本塁打王とMVPを獲得し、今季から巨人に推定年俸3400万円で加入した。原則、茶髪やロン毛が禁止される「紳士集団」の巨人では珍しい見た目で、ロン毛のドレッドヘアーがトレードマークだ。

 オープン戦や開幕後しばらくは、エラーや記録に残らない悪守備でチームの足を引っ張る場面も少なくなく、あるスポーツ紙記者は「首脳陣は、多少守備が悪くても、バットで挽回してくれればいいと考えていたようですが、あそこまで守備が酷いのにはさすがに驚いたようです」と明かす。守備面の課題を克服しようと、ウォーカーには昨季現役を引退した亀井コーチが連日つきっきりで指導。捕球や送球の基本練習を繰り返し、時にはブルペンに入ってコントロールを磨くトレーニングにも励んだ。その成果もあってか、ウォーカーはめきめきと守備力を向上させ、6月には難しい外野フライをファインプレーでアウトにする場面が複数みられ、山形での「ウォーカービーム」も誕生。得意の打撃面は好調を維持し続けており、外野の定位置を不動のものとしている。

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