被害女性が語る「個人撮影AV」の闇 ギャラ50万円は支払われず、普通に会話できない撮影者が急増中

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第二作にも出演

 だが瞳はこれに懲りなかった。今度は知り合いのスカウトを頼り、彼の仲介で個人撮影のAVの案件を得たのだ(スカウトという職種については別記事「ヤクザと大乱闘で注目、歌舞伎町の『スカウト』というお仕事 実態は“不動産屋”?」を参照されたい)。なにかトラブルが生じればスカウトが間に入って解決してくれる。商業作品の撮影ほどではないにせよ、ある程度の後ろ盾を用意した、というわけだ。

「撮影は問題なく終わりました。きちんと相場も調べて、本番行為ありで10万円です。場所は都内のタワーマンションで、自宅兼スタジオみたいな部屋でした。前回と同じようなタイプの男性でしたが、今度はきちんと契約と撮影を別日にし、契約書も5枚くらいありました。配信も約束通りしてくれています。作品は『22歳のキャバ嬢とやってみた』みたいなタイトルでしたね。ただし、モザイクはかかっているものの声はそのまま。親とか男友達が観たら、私だとはわかっちゃうでしょうね」

 本人は笑いながらそう言うが、実際のプレイ内容を聞くと、10万円で高いのかどうか怪しいところだ。同人AVも作品が増えすぎたことで、値崩れを起こしているように思える。

 素人の男性が、趣味と実益を兼ねた副業で手を出している個人撮影の世界。今回はスカウトを介したというものの、密室で、素性も知らない男性と二人っきりになるということへの危険性はないのだろうか。

 実際、とんでもない目にあったという話は瞳も聞くという。

「まず、本当に社会人なのか?と疑うような、コミュニケーション能力のない撮影者が増えたとスカウトの人は言っていましたね。それと、とんでもない安い金額で女の子を呼びたがる、業界の常識を知らないひと。あとは怖い話もけっこうあって、契約期間が終わったのに動画を消してくれないとか、本来の約束にはないサイトにも無断転載されてしまって消せないとか。モザイクのはずが無修正だった、というケースも。その子の場合、
『モザイクなしの動画を消してほしければ、次回も撮影させろ』と脅されたといいます。出演を止めたいけれど止められないわけです。もちろん警察には行けません」

 AV新法が成立したいま、制作者側はトラブルを恐れ、撮影を控えている。直前になって契約が反故になった女優たちの嘆きもSNSに散見されている。本来の商業AVが作れなくなったことで、こうした危険な個人撮影のAVに女性たちが流れてしまうことを、私はもっとも懸念している。

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』ほか、主な著作に『売る男、買う女』『東電OL禁断の25時』など。Twitter: @muchiuna

デイリー新潮編集部

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